アフタースクール

とらちゃん

2018年11月01日 21:40

2008年7月14日 22時30分
前作の「運命じゃない人」ではカンヌ国際映画祭批評家週間で4部門を獲得した内田けんじが、2年間脚本を練りこんで作り上げたものを自ら監督した作品だ。最初は、平凡な学校の先生とその同級生の探偵ごっこのようなドラマかと思わせる。でも大泉洋の意味深な表情を見ていると、この映画が一癖も二癖もあるだろうと予測できる。すべてが明らかになるとき、観客はだまされた快感とラストの物語の終わり方に爽快な気分になるだろう。同級生のことをほんとうにどれだけ知っているのかという、先入観に問いかけてくるのが狙いだと思った。わては、もっとこの監督に高いレベルの要求をしたい。それは、エンターテイメントに人間性に関係したテーマ性を兼ね備えて欲しいということだ。

神野(大泉洋)は自分の出身中学校の先生で、同級生の木村(堺雅人)の自宅の近所に済んでいた。ある朝木村の妻(常盤貴子)が産気づいたので、もう出勤した木村に代わって病院まで送り届けた。病院から学校に行くと、夏休み中の部活動の生徒たちがいた。彼らの指導をしていると、中学の同級生だという島崎(佐々木蔵之介)という探偵が訪ねて来る。どうも、顔に覚えがないが木村のことを知っているので適当に話をあわせる。

今の中学校の一学年は2クラスしかないが、昔はもっとクラスの数が多かったとか思い出話をする。でも、その探偵は同級生の木村の所在をどうしても知りたい様子を示した。暇だった神野はその探偵と行動を共にして、あちこち連れて行かれる。まじめだと思っていた木村が、若い女性とエレベーターに乗るシーンを撮影した写真を見せられてびっくりしたのだ。

木村が浮気をするような男でないと思い込んでいた神野は、探偵のペースにすっかり乗せられてどんどん変な方向に話が進んでいく。観客も最初はそんおペースに嵌るが、これはどこかでどんでん返しがあると予想をする。そして、どれが伏せんかわからないが、頭を総動員してスクリーンに釘付けになる。物語の結末は、非常にうまく組み立てられた脚本のおかげで見破れなかった。まんまとしてやられたと、わては脱帽した。

さて、わてが内田けんじ監督にはもっとレベルの高い映画に挑戦して欲しいと思っている。ヒッチコックのサスペンスや、ジェームズ・ワンとリー・ワネルの「ソウ」シリーズのような映画を撮れると思う。多分もう次回作のことを考えているだろうから、ほんとうに楽しみだ。

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