THE LAST MESSAGE 海猿

とらちゃん

2010年09月20日 23:57

映画化第1作目の「海猿ウミザル」を映画館で見て、相当の出来栄えだと思った。第2作目の大型船の事故を描いた作品は見ていない。本作は福岡沖に建設された天然ガスプラント「レガリア」で、掘削船が衝突し火災が発生する。取り残された作業員の大部分は海上保安庁によって、救助された。ところが、レガリアの設計主任や仙崎たちが取り残されてしまう。わてが見たのは2Dだが、大規模なセットを使ったアクションが迫力満点だった。ただ、内閣参事官と海上保安庁の指揮官との間で交わされる会話に違和感を感じた。

ベテラン救難隊の一員になった仙崎大輔(伊藤英明)は、環菜(加藤あい)と結婚して男の子を授かっていた。結婚記念日のために、相棒の吉岡(佐藤隆太)と環菜へのメッセージを録音する。でも、その当日福岡沖の天然ガスプラント「レガリア」で、事故が発生する。大きなドリルを備えた掘削船がプラントに衝突して、プラントが破壊されて火災が発生していた。

海上保安庁救難隊は鹿児島からすぐに救助に向かう。プラントの設計主任の桜木浩一郎(加藤雅也)を伴い、仙崎たちは現場に降り立つ。台風が接近していたので、一刻も早く作業員を救助するとともに火災の鎮火とプラントの保持が期待される。桜木は一人で設備面の対処を行い、仙崎と新人の服部拓也(三浦翔平)が逃げ遅れた作業員の救出に向かう。
作業員の木島久米夫(濱田岳)と常駐医の西沢夏(吹石一恵)が、取り残されていた。桜木は防火シャッターを下ろしてプラントの火災を食い止めるが、仙崎たちは危うく閉じ込められる寸前だった。合計5名の生存者がプラントに取り残されて、波と風の勢いが増していく。ヘリが飛べなくなり、海上保安庁の船もプラントから一時離れることになる。

そして、台風の進路がプラントを直撃する最悪の事態がやってくる。掘削船のドリルがまだ地中につながっていて、プラントの中に油が流れ込んでくる。予想外の出来事に、東京の対策本部も対策が見つからない。一番プラントのことをわかっている設計者の桜木は、このままではプラントの天然ガスのタンクが爆発すると予告する。

そこからの先崎たちの活躍は、まさにスーパーマンのごとき力技だ。掘削船に乗り込んで、パイプのバルブを閉める。さらに、桜木の同僚たちの提案した方法でプラントを浸水させて、タンクの爆発炎上を防ごうというのだ。仙崎と新人の服部がその任務に当たるのだが、プラントの構造をしっかりと描いて欲しかった。ただ階段を下りて、ハッチを数枚開けるだけではなく詳細な記述が欲しかった。

また、内閣参事官の吉森久貴(鶴見辰吾)が、「1500億円のプラントよりも残された人間の命が重いのか」と指揮官の下川(時任三郎)に問いかける。でも、映画の成り行きをしっかりと検証すると、もはやプラントの破壊を食い止める方法がないのではなかったのか。映画の主要テーマともなるこの会話を、人の命と国家資産のどちらが大切かという問いにしたのがいけない。国家プロジェクトために少々の犠牲は付き物だでは、時代に合わないだろう。その部分がなければ、満点の出来だった。
関連記事