バーレスク

とらちゃん

2010年12月20日 22:25

アカデミー賞・グラミー賞を持つシェールと、グラミー賞多数持つクリスティーナ・アギレラ共演のミュージカル映画だ。ドラマとしての内容は序盤がよかったが、終盤にかけてバタバタしてまとまりに欠けていた。スターを夢見るヒロイン役のアギレラのアカペラがすばらしくて、その後の多くの楽曲にも感動した。踊りとの一体感があって、まさにショービジネスの本場の迫力を感じた。ヒロインが歌の得意なことを隠していたのには、踊りが売りの店だと思いこんでいたと思う。それにしても、強引な自己アピールの方法は日本人も学ぶべきものがある。

アイオワ州の田舎町で給料がしっかり出ない店の店員アリ(クリスティーナ・アギレラ)は、同僚に別れを告げて町を出ていく。ロサンジェルスまでの片道のバスの切符を買ったアリは、全米大陸を3分の2くらい旅をする。安ホテルに宿を取り、ダンサーの職を探すが見つからない。夜ふと見つけたバーレスクというクラブに入ってみると、歌と踊りのステージに目を奪われる。なんとかオーナーのテス(シェール)に会うことができるけど、話も聞いてもらえない。

そこで、バーテンダーのジャック(カム・ジガンディ)を仲良くなってウェイトレスとして勝手に働き出す。このポジティブな考え方がすごい。普通はアポを取ってオーディションを受けるはずだけど、店に無理やり押しかけて働き始めるのだ。ウェイトレスからダンサーに採用されるが、とてもそれだけでは食べることができない。口パクであることを見破っていたアリは、どうして歌が得意だと黙っていたのだろう。
それはおそらく、チャンスを狙っていたとしか思えない。田舎町を出る際に、得意の歌を歌うシーンが挿入されているからだ。そのチャンスは思いもしないきっかけで訪れる。チヤホヤされるアリに嫉妬したニッキ(クリステン・ベル)が音響のジャックを抜くと、ステージ上にいたアリたちが立ちすくむ。音が切れたのでテスは幕を下ろすように指示するが、アリが「タフ・ラヴァー」をアカペラで歌いだす。このシーンが見れただけでも、この映画を見る価値がある。

その後、アリを主役にして生の歌声と踊りで見せるショーを、舞台監督のショーン(スタンリー・トゥッチ)が考える。歌唱力抜群のアリを得て、経営難のバーレスクは持ち直すかに思われた。でも、大物エージェントであり不動産業もしているマーカス(エリック・デイン)が、バーレスク買収の話を進める。バーテンダーのジャックとルームシェアをしていたアリは、マーカスに誘われるようになってさざなみが立ち始める。でも、物語は全く心配しなくていい。クリスティーナ・アギレラは「ムーラン・ルージュ」の主題歌にも関わっているキャリアの持ち主なので、パフォーマンスをたっぷりと楽しめる。スクリーンから出るときに、体全体が高揚感に包まれていた。



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