ベスト・キッド 日本語吹き替え版

わてはオリジナルの「ベスト・キッド」(1984)を見ている。それを中国に舞台を移して、主人公をアフリカ系アメリカ人のジェイデン・スミスにして先生をジャッキー・チェンが演じている。両親が製作に加わっているので、息子の主演作を作りたかったという解釈もできる。でも、それ以上にジェイデンは好演しているし、ジャッキー・チェンも得意のカンフー以外の演技でも存在感がある。むしろ、主役の少年を上回るくらいでどちらが主役なのかわからないくらいだ。

アメリカのデトロイトに住む少年ドレ(ジェイデン・スミス)は、父を亡くして母シェリー(タラジ・P・ヘンソン)の転勤で中国の北京にやってくる。反抗期のドレは全く母の言うことを聞かない。上着を脱いだらしっかりと所定の場所に引っ掛けろというしつけも、守らない。でも、自分のアパートの部屋のシャワーのお湯が出ないので、管理人ハン(ジャッキー・チェン)に修理を頼みに行く。その修理の最中に、母の言うことを聞かない姿を見られてしまう。

翌日時差ぼけのまま北京の中学に登校して、アメリカ人の友達もできる。無鉄砲なドレは、バイオリンを習っているメイ(ハン・ウェンウェン)に声を掛ける。そんなことを転校早々にすれば、中国人のガキ大将が黙っていない。案の定、カンフーを習っているチョン(ワン・ツェンウェイ)にやられてしまう。そこでやめておけばいいけど、相手側の嫌がらせがひどい。我慢してきたドレは仕返しをするが、反対に追いかけられてアパートの門の死角に閉じ込められてボコボコにされそうになる。

6:1のけんかでは、いくらなんでも不公平だ。見るに見かねたハン(ジャッキー・チェン)は、子供たちを殴ることなくドレを助ける。ハンはドレを連れて、チェンの訓練場に行くが反対にカンフー大会への出場を約束させられる。ハンは、成り行き上ドレの訓練をすることになる。最初にハンが練習しろと言ったのは、母親の躾けであった上着を洋服掛けにかけることだった。上着を下に落として、拾い掛けて着る動作を繰り返しさせられる。

「カンフーは人を傷つけることではなく、人とどのように接するかだ」というハンの教えは、まず母の言うことを聞く子供になることだった。その動作が、カンフーに結びつくことを知るのは相当繰り返させられて慣れてきてからだった。そこからのドレの上達振りは、すばらしいものだ。

ハンが車の修理をずっとしている理由もなかなか重要なエピソードだろう。一年間かけて修理した車をハンマーで叩き壊すシーンは、彼の心の傷が大きいからだろう。自分の運転で妻とドレくらいの歳の息子を失ったことを悔やみ続ける後ろ向きの生き方が、ドレのおかげで代わっていく。さらに母のシェリーやチョンの父も巻き込んで、ドラマが進んでいく。

修理をしている車はいかにもアメリカ製なので、舞台が中国であるのは違和感があった。でも、単に弱虫少年の成長物語でなく、過去にとらわれている中年男性の再起の物語もあって重層的なドラマがすばらしい。チョンのカンフーの師匠がいかにも卑怯者に描かれているけど、それもいいだろう。ジャッキー・チェンの寂しそうな背中が喜び、わがままな少年が大人に変わるストーリーが感動的だから。



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この記事へのコメント
TBありがとうございます
自分もリアルタイムでオリジナルベストキッドを見てて、子供の頃生徒役だったジャッキーを見ていたのでなんかいろんなこと思っちゃいました。
ラルフ・マッチオはどこへ...?とか
Posted by kawa at 2010年09月30日 21:14
kawaさん、コメントありがとう。
TBはお互い様です。
これからもよろしくお願いします。
ゴロゴロ。
Posted by とらちゃん at 2010年10月01日 00:25
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