オケ老人!

荒木源の同名小説を、細川徹監督、杏主演で映画化した作品だ。老人ばかりの交響楽団に間違って入団してしまった主人公が右往左往しながら、指揮者としてコンサートを開催するまでを描いている。芸達者な老人役の俳優が多く出演しており、物語の部分はよくできていた。でも、オーケストラの上達の様子を期待するとちょっと肩透かしを食らった気分になってしまった。音楽にテーマを絞った映画には「ウィングガールズ」や「マエストロ」がある。また、「のだめカンタービレ」も有名だ。

音楽映画としては、出演者が担当の楽器をそれなりに演奏できるくらいにならないといけない。わてがなぜそれについて言及しているかというと、管楽器の指の動きと出ている音の展開が違うように見えたシーンがあったからだ。それに、練習シーンがあまりなくて、突然メンバーがうまくなってしまった印象を受けた。コンサートをやることが決まって団員を募集したら、若い人たちがどんどん集まってきた。

その方々がそういううまい演奏をしているのかとも思ってしまう。交響曲第6番 ヘ長調 「田園」 作品68 第1楽章、威風堂々、交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界より」などを演奏するのだ。それはそれは、感動的な演奏シーンだった。特にコンサートの最後の曲にいたっては、トラブルに見舞われながらも演奏を最後までやりきるのだからすばらしい。

物語で面白いのは、千鶴(杏)が梅が丘フィルハーモニーに入団しようとして梅が丘交響楽団に入ってしまったことだ。指揮者だった野々村秀太郎(笹野高史)が心臓の具合が悪くなって、千鶴が指揮者を引き受けてしまう。交響楽団の指揮者をやりながら、フィルハーモニーのバイオリンにもチャレンジするのだからオーバーワークだろう。さらに、OS電気と野々村ラヂオ商会との仲も悪いし、ロミオとジュリエットの関係の高校生の子供たちの恋も関係している。そして、千鶴自身も同僚の坂下(坂口健太郎)と恋人気分でいる。

2つのオーケストラ、2つの電気店、その他にもカップルの恋の行方とドラマ的な見どころがいっぱいある。それを見せながら、オーケストラの演奏の上達の様子までは描き切れていない。非常に上手な演奏者がわざと下手に演奏するのは、難しいもんだ。素人がだんだんとうまくなるのとは、違うものだと思う。脚本がうまくできているので、総合的には星3個だ。

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