ベン・ハー
2003年07月22日 20時41分42秒
NHKBSで放送されたものをビデオ録画して見た。1959年公開の映画で、アカデミー賞11部門受賞の一大歴史スペクタクルだ。作品、監督、主演男優、撮影などの主な賞を総なめした。わてが、子供の頃見た印象は例の戦車の競争シーンだ。それぐらいしか、残っていなかった。今、見直してみると実に多くのテーマが含まれていて、映画史上に残る名作と言っていい。というか、もうその評価は確立されている。上映時間4時間という長さを全く感じさせない、力強いストーリーと克明な人物描写、歴史にもとづいた壮大なスケール感、まさに圧倒される。
AD一桁の年代、ユダヤの地はローマ帝国に征服され、ローマ人の総統に支配されていた。そんな時、ベツレヘムのナザレの村の馬小屋でキリストが誕生する。ユダヤの豪族の息子ベン・ハー(チャールトン・へストン)は、母と妹と暮らしていた。
そこへ、新しいローマ軍の司令官が就任する。ベン・ハーと幼馴染のメッサラ(スティーブン・ボイド)だった。幼馴染のよしみで、メッサラはベン・ハーに協力を依頼するが、ベン・ハーは仲間を売ることはできないと拒絶する。
新総統の就任パレードで、ベン・ハーは自宅の屋上から見ているが、屋根から瓦が落下し、新総統に当たってしまう。それを口実にメッサラは、ベン・ハーとその母と妹を捕らえて有罪にしてしまう。事故だったという弁明も聞き入れられず、ベン・ハーはタイラスへガレー船で連行される。砂漠を連行されている途中倒れそうになるが、キリストに飲み水をもらい感謝する。そして、ローマの軍艦のこぎ手として3年もの年月を過ごす。母と妹は牢獄に幽閉される。
ガレー船というのは、奴隷達がこぎ手になりオールを太鼓の音で指示するのだ。ローマ海軍はマケドニア軍の襲撃にあい、壮絶な戦いが繰り広げられる。将軍アリウス(ジャック・ホーキンス)と同じ船に居合わせたベン・ハー(奴隷番号41号)は、将軍を助ける。戦いに負けたと思っていた二人だが、意外にもローマ軍は勝利していた。
凱旋したアリウスとベン・ハーは、歓喜を持って迎えられ、ベン・ハーは養子になりアリウス2世となる。エルサレムに戻ったベン・ハーは、母と妹が行方不明になっていることを知る。復讐に燃えるベン・ハーは、アラブの族長の助けを借りて、4頭立ての戦車競争に出場する。この迫力はすごい。CGでもない、実写だろう。
その後、キリストの山上の垂訓のシーンや十字架を背負った行進やゴルゴダの岡での処刑などの象徴的なシーンが多く出てくる。十字架の行進では、ベン・ハーは水をキリストに捧げる。すると、疫病に罹っていた母と妹が治癒しているではないか。
ここでの十字架は、T字型で上には名前や罪状が書かれているようだ。どうも、聞いた話だがその頃は十字架ではなくT字型であったようだ。この処刑は、重罪者に対するものでキリストが何かの罪を犯した訳ではない。当時のユダヤの支配者層から疎んじられ、ローマの総統に頼んで処刑されたらしい。
キリストは、「この世の罪を背負われた。これが始まりだ。」と言われる。また、「父よ彼らをお許しください」というキリストの言葉を聞いたベン・ハーは、これまでの恨みを忘れてしまう。西洋文化を理解する上でも、必見の映画だ。見てから何十年も間がある人も、1度見てほしい。
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