海猿 ウミザル

とらちゃん

2018年11月02日 17:19

2004年06月14日 18時06分18秒
公開3日目の月曜日に見に行ってきた。海上保安庁全面協力の、すばらしいエンターテイメントを作り上げてくれた。日本映画で、これほどの当局の協力が得られた映画はなかなかなかったような気がする。それも、海上保安庁に対する理解を深めたい思惑も見え隠れするが、見事な出来にそんなことを気にするのはやぼだ。ハリウッドの国防省全面協力の軍隊ものの青春映画と比べても、遜色はないと言ってもよい。わては、そのくらいの賞賛を捧げたい。原作は、佐藤秀峰の「海猿 うみざる」という週刊ヤングサンデー連載の漫画だ。

広島県呉市にある海上保安大学校には、海上保安官の中のエリート潜水士になるための50日間の潜水技術研修が行われている。年2回行われている訓練に、今回やって来たのはダイブマスターの資格を持つ仙崎大輔(伊藤英明)や海上保安大学校卒業のエリート三島優二(海東健)などの面々の他に、工藤誠(伊藤淳史)も含まれていた。

総勢14名の訓練生は、鬼教官源太郎(藤竜也)にしごかれて一人前の潜水士を目指していく。ダイビングを趣味にしていた仙崎は、落ちこぼれの工藤とパディ(海中に潜る時のパートナー)を組むことになる。羽目を外して教官に怒られたり、東京から呉に帰ってきたファッション雑誌編集者伊沢環菜(加藤あい)と仙崎のロマンスがあったりとエピソードには事欠かない。また、不器用な工藤が看護婦の松原エリカ(香里奈)と仲良くなったと思ったら、志半ばで亡くなってしまう。

源が日頃口癖にしている「水心40メートル、バディと二人取り残され使えるボンベは一つだけ。残圧30、片道一人分。お前達ならどうする。」という、極限の危機が外洋訓練中に仙崎と三島のバディの組み合わせで起こってしまう。ほんとうの海難事故なので、巡視艇「ふくえ」や「はかた」などやヘリコプター3機も出動する。このシーンの現実性や緊迫感は、本物を使っているからこそ味わえるものだ。また、訓練の様子も実際に行われているものを役者自身がほんとうに体験したから、ドキュメンタリーのようだ。

まさに今日本で作ることができる、最高のレベルのエンターテイメントになった。エンディンロールの後におまけ映像があるので、最後まで席を立ってはいけない。同じフジテレビ製作なのに、昨年公開された某映画とは格段の差がある。こういう日本映画を待っていたのだ。

関連記事