土星最大の衛星タイタンの窒素は隕石の衝突から

数日前の朝日新聞で、東京大学大学院新領域創成科学研究科関根康人助教らが「土星最大の衛星タイタンの窒素が40億年前の巨大隕石群の衝突によっておきた」と発表したと書いてあった。これは、非常に画期的な研究である。どういうことかというと、地球でははじめから現在のように窒素と酸素があって生物が地上を満たす環境にあったわけではないからだ。

白亜紀末にメキシコのユカタン半島沖の海に、直径10~15kmの巨大隕石が落ちて恐竜を絶滅させたことが知られている。地球の歴史は46億年といわれていて、その間に巨大隕石は何個も衝突したのだと思う。地球上にある窒素は、アンモニアからできたことがわかっている。地球の歴史を探る上でも重要な研究だ。

さて、タイタンにはメタンの液体と雲や雨が降る環境が存在する。そして、大気としては窒素ガスが存在する。メタンは炭素と水素からなる物質であるので、窒素ガスとは全く関連性がない。窒素ガスがどうして存在するのか不明のままだった。ところが2004年から始まったNASA/ESAによるカッシーニ探査によってわかってくる。タイタンには地球と同じように重力が存在して、内部は密度が高いとわかる。

関根康人さんらのチームは、40億年前に起きた太陽系の巨大隕石の重爆撃イベントに注目する。地球から月を見たときに、たくさんのクレーターがある。その大部分が40億年前の巨大隕石によってできたと言われている。直径50km以上の隕石が数千回衝突して、タイタン地表の温度が2000℃くらいになる。

研究チームは、実験室でアンモニアの氷に隕石が衝突するシュミレーションをして窒素が発生することを確認した。40億年前にタイタンにたくさんの巨大隕石が衝突して、窒素という大気が発生したと考えられるのだ。新領域冷たい第二の地球:土星衛星タイタンの窒素大気誕生を解明参照。

Nature GeosienceのトップページにNitrogen on Titanという見出しがある。アウトライン(概要)は、http://www.nature.com/ngeo/journal/vaop/ncurrent/full/ngeo1147.htmlで読むことができる。日本語版もあったのだ。衝突で生成されたタイタンの窒素。ゴロゴロ。



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