ジョーカー

DCコミックのバッドマンに登場する悪役ジョーカーの誕生の秘密を丁寧に描いた重厚なドラマになっている。主人公はおそらく統合失調症だと思う。その彼が市の経費削減で薬とカウンセリングを打ち切られる。この行政の政策が信じられないほどの悪政なのだ。ゴッサムシティーは全く弱者に厳しい社会である。こんな環境では民衆が荒れるのも無理はないと思う。彼が人殺しをなんとも思わなくなる過程に悲哀を感じる。

母と暮らす中年の男性アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)はコメディアンを目指していたけど、目が出ないのでピエロや客引きをして暮らしている。面白いことがないのに笑う癖は、人を不快にさせる。最初は病気のせいだとカードを出すが、そのうちに面倒になってくる。そして、周囲の差別的言動が押し寄せてくる。

さらに信じていた母が自分と同じ妄想癖を持っていることがわかる。市長になったトーマス・ウェイン(バッドマンの父)が父親だと白状する。彼は本当に市長が父親なのか本人に会いに行く。でも完全に否定されて、30年前の母のカルテを探しに行く。そしたら、自分が養子であり母から虐待されていて、母も妄想癖があったとわかる。

唯一の拠り所だった母の妄想で今まで自分の人生を否定されてしまう。ここで彼は切れてしまった。なんという悲劇というか悲哀なんだろう。全く血がつながっていなかった女性を今まで母だと思いこんで、自分の負い目に感じていたのが無駄になったとわかるのだ。

病院で母を殺害して、自分を笑い者にしようとした司会者(ロバート・デ・ニーロ)を生放送中に射殺する。当然その場で逮捕されるのだが、街中に暴徒が溢れていた。生放送で射殺するという大胆な行動が、民衆の怒りに火をつけた。警察署に向かう途中のパトカーに救急車が交差点で衝突する。ジョーカーは無事に助け出されて、踊りだす。

バッドマンとなる息子は殺されずにすみ、生き残る。いやはや、ダークな作品でした。映画の出来は星5個だけど、万人におすすめしません。映画マニアだけどうぞ。

トラックバック URL
https://torachangorogoro.blog.fc2.com/tb.php/449-625746f4


同じカテゴリー(2019年映画)の記事
屍人荘の殺人
屍人荘の殺人(2019-12-14 19:40)

決算!忠臣蔵
決算!忠臣蔵(2019-11-29 21:13)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
ジョーカー
    コメント(0)