クローズアップ現代、山中伸弥教授

10月8日にノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が、クローズアップ現代に出演した。京都のスタジオに来た山中教授が、東京のスタジオの国谷さんと話をした。以下、山中教授と国谷さんの会話だ。

山中「2日たちましてようやく実感が沸いてきました。」
国谷「先生は以前の番組でまるで暗闇の中でバットを振っているようだとおっしゃいました。いまはどういうふうに感じていますか。」
山中「見えないけれど、ボールが飛んでくるのはわかっていました。1960年にジョン・ガードン先生が発見した事象からわかっていたのです。」

国谷「37歳で研究室を立ち上げたときには、300万の研究費しかありませんでした。そのときの気持ちは。」
山中「可能性が低いのはわかっていたけど、命をとられるわけではない。いっしょにやってきた高橋君には、研究がだめなら山中クリニックで雇うと言っていました。」

国谷「先生はアメリカの求人誌で自分で応募して自分で渡米しました。日本に戻ってから基礎研究をされました。」
山中「奈良先端技術大学での最初の3~4年が一番苦しかった。」
国谷「それから13年後にノーベル賞を受賞されました。」
山中「真理を探究するのはベールをはがすように一枚一枚取っていく作業です。何枚もベールをはがしていくうちに、たまたまラッキーなものに当たっただけだと思う。」

iPS細胞は皮膚の細胞から何にでも変化する細胞だ。細長い皮膚の細胞が丸い細胞に変化するのを撮影した。山中教授は、皮膚の細胞に4個の遺伝子を入れると、細胞が初期化することを発見した。再生医療では、目の網膜の再生に早ければ来年から移植手術が行われる。難病対策には、病気の原因を調べるのに役立っている。アメリカの大学では、ALS発症のしくみを解明した。

山中「細胞の初期化はいまや中高生でもできる方法です。」
国谷「日本の創薬産業のインフラはどの程度のレベルなのでしょうか。」
山中「日本の薬品会社は化合物だけでなく、天然物も採用しているので有効だと思います。」
国谷「6年でスピード受賞されてその速さはどう思いますか。」
山中「ジョン・ガードン先生のおかげでできたと思っています。先生の研究に便乗させてもらったのです。」

国谷「海外の研究に負けないように特許をとられました。」
山中「特許をとったのは独占させないためにしたのです。京都大学が特許を持っているので、ほかの研究機関が使いやすいのです。」
国谷「文部科学省は10年間で、iPS細胞研究所に200~300億円の補助をします。他の研究機関にも150億円の補助をします。」
山中「その補助はノーベル賞に決まる前から決まっていたのです。それよりも心配なのは、10年後にiPS細胞研究所のスタッフがどうなるかということです。スタッフの9割が非常勤で10年後の職が保障されていないのです。」

国谷「先生は2020年に臨床にできると言っておられます。」
山中「網膜についてはすぐにできると思います。脊髄や脳の病気は、もう少し時間がかかると思います。」
国谷「かなり自信ができたのですね。」
山中「研究が進んでリスクが下がってきました。ベネフィットが大きいものから研究は進むと考えています。」

国谷「先生はどうやってプレッシャーを克服されてきたのですか。」
山中「ジョギングをしながら、ビリー・ジョエルの『プレッシャー』を聞いています。それと私は、このままでは終われないと考えています。」



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