ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

スティーブン・スピルバーグ監督・製作で、メリル・ストリープとトム・ハンクス主演で作られた映画だ。新聞社が時の政権に真っ向から対決する様子を、緊迫感いっぱいで描いている。ニクソン大統領というとウォーターゲート事件で有名なのだけど、その前にこんなことがあったとは知らなかった。報道の自由を守るために戦うジャーナリストの心意気は素晴らしい。特に夫の死後社主になったキャサリンを演じたメリル・ストリープがいい。ワシントン・ポストもニューヨーク・タイムズもよくやったと思う。大人の鑑賞に耐えうる映画だと太鼓判を押せる。

キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は自宅で書類を熱心に読んでいる。数年前まで主婦だったけど、ワシントン・ポストの社主になったのだ。そして、今まで家族経営だった会社の株式公開するために準備している。部数を順調に伸ばすためになんらかの手を打たないといけない。とりあえず株式公開で現状打破するのが目的だ。世間では1971年、1955年から始まったベトナム戦争は泥沼状態にハマっており、どうにもならない状態になっていた。

ある政策系研究所で書類の束から一部を抜き出して、コピー機のある部屋に入りコピーしている。それが何の書類なのか映画が進むとわかる。ワシントン・ポストのライバル、ニューヨーク・タイムズがベトナム戦争に関する政府の不都合な真実をスクープして脚光を浴びる。ニクソン大統領はその記事を差し止めるために裁判所に訴える。そんな中、編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)が部下の尻を叩いてネタを探せと催促する。

あらゆるツテを頼って探すと、ライバルと同じ情報源から膨大な政府機密文書を入手する。飛行機の座席で書類箱をシートベルトで縛る様子が面白い。ベンの自宅に山のような書類が持ち込まれて主なメンバーが呼び出されて整理する。ことの重大さに仰天する。ベトナム戦争を継続するために政府がウソの情報を流していたのだ。

株式公開で株価が下がらないか心配する、政府から訴訟を起こされた場合の対処を顧問弁護士が検討する、締切までに記事をまとめることができるのか。それらの問題が交わる中で、キャサリンは新聞社の使命である言論の自由を守る決断を下す。そこまでの葛藤を素晴らしい演技で表現している。輪転機が回って新聞ができあがる達成感は感動する。映画の終わりに、ウォーターゲート事件の発端が流される。エンターテイメントとしてもシリアスなドラマとしても満点の出来栄えだ。星5個。

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