ロミオとジュリエット

2003年09月27日 21時04分57秒
1968年公開のウィリアム・シェークスピア原作、「じゃじゃ馬ならし」(67)・「オテロ」(86)・「ハムレット」(90)・「永遠のマリアカラス」(02)などの監督をしたフランコ・ゼフィレッリの作品だ。ロミオはレナード・ホワイティング(16歳)、ジュリエットはオリヴィア・ハッセー(15歳)という原作に近い年齢設定の歴史に残る名作だ。音楽のニーノ・ロータの作ったメロディは、あまりにも有名だ。

映画化は何回もされているし、このストーリーを引用した映画(ウェストサイド・ストーリーなど)もあるが、このオリヴィア・ハッセーの本作は必見だろう。舞台化もされているけど、これほど原作に忠実に映画化され、その世界を再現して、人々の感動を誘うものはなかなかない。

イタリア北部のベローナの町、1450年ごろルネッサンスの真っ只中町人が力を持ち始めた頃の話だ。町を二分するモンタギュー家とキャピュレット家は、お互いに敵視しており、町で出会えばすぐに喧嘩が始まる状態だった。ある日騒動を起こし、怪我人を出したために大公殿下は、「これで三度目だ。こんど騒動を起こしたら、治安騒乱罪で罰する」と宣言する。

キャピュレット家でパーティーが開かれた時、モンタギュー家の一人息子ロミオ(レナード・ホワイティング)とマキューシオ(ジョン・マケナリー)らの仲間達は仮面を付けて、乗り込む。モレスコという踊りの最中に、ジュリエットを見つけたロミオは「カラスの中の白い鳩」を見つけたと表現する。

ジュリエットがキャピュレット家の一人娘だと知らないロミオは、一目で恋に落ちる。一人の青年が歌を歌う間に、ロミオはジュリエットに近づき告白する。その後パーティーは終わりになるが、帰り際にお互いの家系を知る事になる。

その後が有名なバルコニーのシーンだ。ここで交わされるセリフを少し紹介する。
「愛が憎しみから生まれた。ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの」
「手袋になってあの頬に触れたい」
「どうやって入ってきたのですか。」
「庭の塀も恋の翼で、ひとっとびです。」
「自分に誓って、あなたは私の神だ。」
「聖女様の唇で、私の罪は清められる。」
「罪を移されました。」
「では、お返しを」ということで、二人は熱い口づけを交わす。命と引き換えの恋をしたのだ。愛を誓い合った二人は、結婚したいと気持ちを確かめる。

翌日、ロミオは自宅に帰らず、ロレンス神父(ミロ・オーシャ)の所に直行する。神父は「お前が好きなのは、ロザリンではなかったのか。」と聞くが、ロミオは「ジュリエットと結婚したい。」と告白する。それを聞いた神父は、両家の仲たがいを解決する手段になるかもしれないと思い、その申し出を引き受ける。

その日の午後、ジュリエットの乳母の助けを借りて二人だけの結婚式を挙げる。ジュリエットの「お金持ちは貧しいわ。私の愛に比べれば。」と言う。ロミオは結婚式の帰りに、モンタギュー家のおしゃべり男マキューシオとキャピュレット家の乱暴者ティボルト(マイケル・ヨーク)が、剣を抜いて戦っている場面に出くわす。ロミオは止めに入るが、マキューシオが殺されてしまう。

あまりの見下された扱いに逆上したロミオは、ティボルトらを追いかけ、またも決闘になる。そして、今度はティボルトをロミオが殺してしまう。その結果、ロミオは町を追放になりマントバに行く事になる。神父と乳母の計らいで、一夜を共にした二人は結ばれたが、「朝の使い」のひばりが鳴きだし、夜が明けてくる。「明るくなるほど、悲しみは深くなる」とジュリエットは言い、悲しみに暮れる。

そんなことを全く知らないジュリエットの両親は、パリス伯爵(ロベルト・ビサッコ)との結婚話をどんどん進めていく。木曜日に結婚式を挙げるという話に、最初はジュリエットは反発する。神父の所に相談に行くと、42時間後に目覚める事ができる薬を飲んで仮死状態になる計画を勧められる。この薬を飲む時のオリヴィエの演技は、すばらしい。

神父の計画では、一旦葬儀をしてから墓地に埋葬し、その後ジュリエットが目覚め、ロミオと会わせるというものだった。ところが、神父の書いた手紙がロミオの所に届かず、ジュリエットの死の知らせと行き違いになってしまう。ジュリエットの死を知ったロミオは、当然後を追うつもりで駆けつける。

その時のセリフがまたいいのだ。
「死もこの美しさまでは奪えない。死神まで、恋をしている。死神との永久契約に印を押そう。」
ロミオが毒薬をすべて飲み干して死んだ後に、ジュリエットが目を覚ます。ジュリエットは、ロミオの唇にキスをし「まだ暖かいこと」を知る。毒薬のビンが空になっているので、ジュリエットはロミオの短剣で胸を突く。

あまりにも悲劇的な結末は、大公殿下に「両家の不和の天罰が、下ったのだ」と言わせ、両家は和解する。ストーリーをばらしてしまったが、その格調の高さやセリフの文学的な香りを思えば、何回でも見たい映画だ。たった、1週間もない日々で恋に落ち、悲劇的最後を迎える男女の悲しい、そして美しい物語だ。

この映画は、レンタル屋で探してでも見て欲しい。名作です。



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