ローマの休日製作50周年記念デジタル・ニューマスター版

2004年01月20日 09時54分43秒
1953年製作のオードリー・ヘプバーン主演の映画史上に燦然と輝く名作だ。アカデミー賞主演女優賞・脚本賞・衣装デザイン賞を受賞した映画だ。オードリーは、この映画によって世界の妖精になった。わては、やっと我が地方に回ってきた50周年記念デジタル・ニューマスター版を見ることができた。DVDは、もう発売されているがやはり映画館で見たいと思っていた。

ワイドなシネスコープサイズではなく、昔のサイズで白黒だ。でも、映画館で見ると全く違う。ローマの街にいっしょにいるような体験ができる。どのシーンも、ダイヤモンドのように大切な至宝のごとく輝いている。わては、それを目に焼き付ける幸福に浸ることができて、大満足だ。

ヨーロッパ最古の王室の王位継承者であるアン王女(オードリー・ヘプバーン)は、欧州親善旅行でロンドン・パリと訪問し、ローマにやってきた。大使館主催の晩餐会で、各国の使節の訪問を受けている間、スカートの中でハイヒールを脱いで素足になったりすっる。また、寝る前には必ずネグリジェに着替えて、ミルクを飲まないといけない。かんしゃくを起こして、侍医に睡眠薬を注射されて寝たフリをする。

それから、寝室を抜け出してローマの街に出て行ってしまう。睡眠薬を注射されたのだから、眠くなるのは当たり前でベンチに寝てしまう。そこへ、通りかかったのがアメリカの新聞記者のジョー・ブラッドリー(グレゴリー・ペック)だ。ブラウスにスカート姿の令嬢を路上には、放って置けないので自宅に送ろうとする。しかし、睡眠薬のために意識がはっきりぜず、自宅のボロアパートに連れてくる。

その部屋の中でのやり取りも非常におもしろい。アンが、王女らしい言い方をするのがおもしろいし、学はあるらしいとジョーが察知するのもおかしい。翌朝出社したジョーは、遅刻の言い訳をアン王女の記者会見に行っていたというが、アン王女は重病で静養中という記事が新聞に出ていたことから、彼女の正体に気が付く。編集長にもし、アン王女の特ダネが取れたらボーナスをくれるように約束をさせる。

ジョーの部屋で目を覚ましたアンは、お金をジョーに借りてローマの街に出て行く。このシーンが、実にローマの街に溶け込んでいて自然な感じでとてもいい。サンダルを買ったり、美容院に入ってロングヘアーをばっさり切ってしまったりする。美容師には、夜の船上パーティーに誘われる。その後、スペイン広場でアイスクリームを食べる。

そこで、追いかけてきたジョーは自然に出会った風を装い、一日観光をしようと誘う。王女のプライベートを記事にしようとするのだ。ジョーは特ダネになるに違いないと確信し、友人のカメラマン・アービング・ラドビッチ(エディ・ラルバート)に声を掛ける。ジョーは、自分の職業を肥料や薬品を売るセールスマンだと嘘を言う。一方、アンは学校を抜け出してきたとこれまた嘘を言う。

オープンカフェでシャンパンを飲んだり、タバコを始めて試したりする。また、ベスパの後ろに乗ってローマの観光地を巡る。アンはベスパのハンドルを握り、走り出してしまう。ジョーが後ろから飛び乗って、街中をめちゃくちゃにして警察に追われる。そこで、警察に捕まるが結婚式に行く途中だったと言い訳をして、追いかけてきた商店主らに反対に祝福される。

真実の口でのシーンや、祈りの壁で祈るシーンもすばらしい。夜には、美容師に誘われたサンタンジェロの船上パーティーに行き、ダンスを楽しむ。ところが、本国から駆けつけた情報部員に見つかって捕まりそうになる。そこで、アンはギターで、ジョーは素手で乱闘騒ぎを起こす。逃げるために川に飛び込んで、向こう岸に泳ぎ着く。

そして、水から上がった二人はついにキスをして恋心を確かめ合う。ここからが、切ないのだ。ジョーの部屋に戻った二人は、「人生とはままならないもの。私は行かなければいけません。」と言い、お互いの身分を明かさないまま別れる事にする。やってきたカメラマンのアービングには、記事にしないことをジョーは明らかにする。編集長にも、特ダネはだめだったと言う。

翌日の記者会見で、アン王女は新聞記者の前に立つ。ショートヘアにしたアンは頭に飾りをつけてますます美しい。写真撮影の時間になって、アービングはローマの街を観光中に使っていたライター型の小型カメラを使う。アンは、それですべてを悟る。アービングは、自分が写した写真を「ローマの記念にどうぞ。」と言って差し出し、アンは「ヨーロッパを回った中で、ローマが一番思い出に残っています。私は生涯この思い出を忘れないでしょう。」と答える。

アンは王女としての自覚に目覚め、ジョーは彼女の思い出を記事にしないことで二人の思い出を心にしまう。すばらしいラストシーンだ。まさに必見、傑作。わては、パンフレットを買ったのは言うまでもない。宝物のような映画だ。



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