レッドブル

2004年11月13日 16時55分
1988年公開で、今や加州知事となったアーノルド・シュワルツェネッガーとジェームズ・ベルーシ主演の凸凹刑事コンビ物の映画だ。監督のウォルター・ヒルは、エディ・マーフィの「48時間」の監督や「エイリアン」シリーズの製作者として知られている。この作品では、監督・製作・原案・脚本をこなしている。まだ、米ソの対立関係が続いている頃の映画で、ソ連側からアメリカは腐りきった資本主義の象徴として描かれている。シュワちゃんのターミネーター張りのアクションが見られる映画ではなく、無骨なソ連の特殊警察の大尉とシカゴの軟弱な刑事のやり取りがおもしろいアクションコメディーといった映画だ。

ダンコー大尉(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、ソ連の麻薬捜査を担当している。その日も、相棒と麻薬組織のビクトル・ロスタ(エド・ポロス)を逮捕しようと乗り込んでいくが相棒を殺され、ビクトルに逃げられるという失態を演じる。その数ヵ月後、ビクトルはアメリカのシカゴで駐車違反で捕まる。その一報を受けたダンコーは、一人渡米させられてグルジア人のビクトルを連行するように命令される。しかも、アメリカ側にビクトルの正体を明かさないという条件付だった。

リジック刑事(ジェームズ・ベルーシ)らと留置されているビクトルを引き取りに行くと、突然黒人の坊主頭の集団が銃を撃ちながら襲撃し、ビクトルをさらわれてしまう。シュワちゃんは、ロシア語と英語を話し器用だ。再び失態を演じたので、領事館から外交官が派遣され、ダンコーは本国への帰国命令を受ける。しかし、ダンコーは命令を無視して捜査を続行したいと申し出る。その相棒には、問題児のリジック刑事が当てられる。問題児同士でへまをしても、構わないと思われたのだ。ところが、ビクトルたちは、米ソ間の麻薬ルートを確立する手始めに500万ドルの取引をしようとしていた。

ここからは、サスペンス仕立てもあって、おもしろい会話で笑ったりハラハラしたりできる。ビクトルがアメリカに渡るために偽装結婚したキャット(ジーナ・ガーション)が、ダンコー側に協力する。また、女装した看護師が病院に口封じにやってきたりする。そして、ダンコーがビクトルの持ち物の中にあった鍵を頼りに取引場所を突き止めるのが、アメリカ人よりアメリカを理解しているようでおもしろい。黒人の坊主頭のギャングのボスが刑務所に収監中で、ダンコーがビクトルの居所を探るために会いに行くのも何か逆説的だ。アメリカを批判しているソ連も、当時ではとっくに資本主義の毒に染まっていたのだろう。

ずる賢いビクトルをエド・ポロスが好演している。ラストには、バスを使ってのカーチェイスやチキンレースも用意されていて、サービスたっぷりだ。シュワちゃんの後の出演作で見たようなアクションシーンだ。彼の使うピストルが、ソ連製ボドビリン9.2mmというライフルみたいなやつとダーティー・ハリーのマグナム44というのもマニアックでいい。見た後にスカッとした気分を味わえる手ごろな娯楽作品だ。



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