私の中の消しゴム

2005年11月6日 22時40分
2001年に連続ドラマとして放送された「Pure Soul 君が僕を忘れても」でアイディアを得て、韓国のイ・ジェハンが脚本を書いて自ら監督した作品だ。日本のドラマの時は、永作博美と緒形直人主演だった。大恋愛の末結婚した女性が若年性アルツハイマーになり、その夫と彼女自身の苦しみを描いた映画だ。チョン・ウソンとソン・イェジン主演で、わざとらしくなりがちな話題をうまい脚本でお話を整理して、泣かせる映画になっていた。アルツハイマーを扱った映画では、「君に読む物語」という映画があった。それと比べると、ど真ん中の直球勝負で堂々と観客の心に訴えたと思う。

社長令嬢でデザイナー会社で働くスジン(ソン・イェジン)は、妻子ある男性と不倫をして駆け落ちの約束をしたが相手にすっぽかされて心に傷を負っていた。そんなスジンを、建設会社の社長をしている父に許してもらいなんとか立ち直ろうとしていた。そんな時、スジンはコンビニで財布と購入した清涼飲料水を忘れ、戻ったらチョルス(チョン・ウソン)が同じ飲み物を飲んでいたので横取りして飲んでしまう。

その後、父の仕事場にやってきたスジンは、ビルの建設現場の現場監督をしているチョルスと再会する。運命的な再会に何かを感じたスジンは、女友達を誘って屋台で酒を飲んでいるチョルスたちに会いに行く。そこから交際を始めた二人は、結婚を意識するようになるが、チョルスの母への不信感が原因になって踏み切れないでいた。でも、スジンの父が「私が不倫をしても許してくれた」という言葉を聞いて結婚をする。「人を許すことは、自分の心に部屋を一つ作ることだ」とスジンに言われ、チョルスはスジンを幸せにしようと決心する。

ちょっと物忘れの癖があって、可愛いスジンはチョルスにとってほんとうに愛する存在になった。新婚時代の楽しそうな様子が、さわやかに描かれていて見ている方も幸せな気分になる。チョルスは子供の頃から大工をしていて、建築士の試験を受け合格する。仕事もプライベートも順調だと思った時、スジンに異変が起きる。今、自分が何をしていたかも忘れるようになったのだ。自分から病院に行ったスジンは、何回も通う内に「若年性アルツハイマー」という病名を告げられる。28歳という若さでありながら、精神的に死んでいく病気になる。

自分の名前も愛する夫の名前もわからなくなり、「私の頭の中に消しゴムがある」というように、記憶が消えて日常の出来事もできなくなるのだ。チョルスは部屋中にメモを張り、妻が自宅で生活できるように工夫する。スジンは病気がわかったと同時に会社をやめるが、元不倫相手が誰かもわからなくなる。会社に向かおうとして、途中で何をしていたがわからなくなったりする。スジンの家族は、離婚して療養所に入れるように勧めるが、チョルスは断る。

スジンは下の管理もできなくなって、夫の名前を間違えたりしたので最後のラブレターを書いて家を出て施設に入る。チョルスは施設に入ったスジンに面会に行くが、もう名前もわからなくなっていた。もうこの辺に来ると、涙が出てたまらなくなった。そして、この監督はラストに夢のようなシーンを用意してくれた。全く、うまい演出だ。


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