ALWAYS 三丁目の夕日

2005年11月15日 22時32分
小学館のビッグコミックオリジナル連載の西岸良平作の漫画「三丁目の夕日」が原作で、昭和30年代を舞台にした映画だ。わてが生まれたのが昭和34年なので、この漫画に描かれている世界と同じような経験を子供の頃にしている。さすがに、東京タワーの建設には立ち会っていないが、非常に懐かしく見ることができた。この時代以降に生まれた人は、昔の日本ではこういう風景が日常的に見られたと思って欲しい。隣近所がすごく近くて、子供たちは10円玉を握り締めて駄菓子屋に行っておやつを買って、空き地で遊んだもんだ。また、大人たちも助け合って生きていた。この映画は、そんな今は失われてしまった暖かい人々のふれあいを感じることができる。

昭和33年当時の風俗を丹念に調べて、街並みのセットを作っている。登場する車や自転車も、残っている貴重なクラシックカーを借りてきたのだろう。建設中の東京タワーはVFXで再現し、チンチン電車の走る大通りのビルはセピア色で古さを表現している。駄菓子屋の細かい陳列品も当時のままだ。そして、服装が昔の記憶にあるやつだし、子供たちの雰囲気が小さいときの自分に良く似ているのだ。三種の神器テレビ・冷蔵庫・洗濯機という当時の電気製品も、しっかりと再現されている。お話のエピソードが、分散しているのが少し難だが、全く離れているわけではないのでマイナスではない。

小さな車の修理工場を経営している鈴木オートの父(堤真一)は、母(薬師丸ひろ子)と長男一平(小清水一輝)の三人で暮らしていたが、集団就職で上京した中卒の星野六子(掘北真希)を上野駅まで迎えに行く。ところが、六子の特技は自転車修理で自動車のことは全く知らなかった。また、六子は大きな自動車会社に就職できるものと期待していた。六子は、兄弟が多く故郷を出る時に親に「食い扶持が減る」と言われていた。

鈴木オートの向かいにある駄菓子屋には、祖母が亡くなった後に店主になった茶川竜之介(吉岡秀隆)が住んでいた。駄菓子屋をやりながら、小説を書いていたが全く目が出ない。そのために、少年向けの科学空想小説を書いて生計の足しにしていた。大人たちが夜になると集まるのが、綺麗なヒロミ(小雪)の経営する飲み屋だ。そこには身寄りのない子供古行淳之介(須賀健太)が、流れてきていてヒロミは誰かに引き取ってもらおうと考えていた。常連が揃ったところで、ヒロミは茶川に目を付けて口説き始める。

竜之介はヒロミのことが好きだったので、「私もたまには、料理を作りに伺います」の一言で引き受けてしまう。そこから、夕日町の人々の人間ドラマが繰り広げられる。笑いあり涙ありの、大いに楽しめる映画だった。わては周囲の迷惑など考えないで、ゲタゲタ笑ってしまった。この映画は、もう一つの世界を完結させてしまっている。もしかすると、シリーズ化してもいいのではないだろうか。わては、是非この映画を映画館で見て笑ったり泣いたりして欲しい。そうすると、今失われつつある日本人の良さもわかるのではないか。


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