ベクシル 2077 日本鎖国

2007年8月23日 23時15分
「ピンポン」や「アップルシード」の曾利文彦監督が、脚本も担当して世界に送る近未来SFロボットアニメだ。3Dライブアニメという新しい手法を用い、俳優の演技をそのまま映像化して再び少しぎこちないように戻す凝った加工がされている。原作がないオリジナルストーリーで、ロボット技術を極めるあまり鎖国をした日本をテーマにした物語だ。この映画のライバルとなるのは「トランスフォーマー」などの、ハリウッドのVFX大作だと思う。それほど、スケールの大きさや物語の独自性は高い。でも、それをアニメでやったという価値は大きい。

21世紀、今から数年後の日本ではロボット産業が発展して世界の市場を独占してしまう。生物とロボットの境界が曖昧になるほど、技術が発展して倫理観を無視した方向に進んでしまう。すると、国際連合が規制強化を打ち出したので、日本は連合を脱退する。2067年には、レーダー技術の進歩で偵察衛星でも見ることができないようにして、日本は物理的な鎖国を決行する。領海や領空に近づこうとすると、防御システムが働いて近づけない。そんな状態が10年続いた2077年、大和重鋼という日本を牛耳っている企業が動き始める。

大和のサイトウは、アメリカのある田舎町に各国のVIPを招待して話し合いをしようとする。米軍特殊部隊SWORDの女性兵士ベクシルは、仲間と突入作戦に参加して逃げるサイトウの足を捕まえるが、サイトウは自分の足をナイフで切り落として逃げ切った。そして、VIPは殺されて大和のロボットにとって代わられていた。ここまでがこの映画の導入部分だが、全体の話の付箋になっている。切り取られた足を分析した米軍は、それが精巧に作られたアンドロイドだと解明し日本に潜入する作戦を決行する。

ファイタースーツを着た米軍特殊部隊は、まるでガンダムの小型版だ。ベクシルと隊長のレオンは、ファイタースーツをボロボロにして東京に潜入に成功する。でも、レオンは東京湾上にある大和重鋼の基地に捕らえられ、ベクシルは東京の人々が生活するエリアのレジスタンスに救われる。レジスタンスには、マリアや10歳の男の子タカシ、リョウやタロウらがいた。一時的に偵察衛星で探知に成功した米軍は、生態反応がベクシルとレオンしかないことを察知する。

つまり、東京の壁で覆われた街に暮らす人々は生物ではなく、いずれ鉄くずになってしまう機械にされてしまっていたのだ。大和重鋼の策略で、日本全土は不毛の地となり壁の中で暮らす人々もジャグと呼ばれている鉄くずの渦巻状の怪物に飲み込まれる運命にあった。そこで、マリアたちは最後の戦いとして大和の基地と陸地を結ぶ連絡通路の弱点を突いた戦いに望むのだった。ジェット燃料を搭載したバギーやベクシルのファイタースーツを修理して、レジスタンスの人々は決死の戦いをする。終わり方も、最初の導入部の付箋が生きていて、納得ができる。スピード感あふれるアクションは、やっぱり映画館で見てほしい。


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