パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

2007年5月31日 22時30分
「呪われた海賊たち」と「デッドマンチェスト」の次の第三弾となる海賊の、海洋アドベンチャーだ。このシリーズは、ディズニーの配給なので子供でも安心して見られるものだ。だから、海賊が殺し合いをしたりするシーンもソフトな描写がされている。これだけのヒットをした理由は、登場人物それぞれに魅力があるからだ。個性豊かで、何らかの執念とか怨念を離さなかった。でも、今回の第三弾では簡単に主人公に味方して、都合のいいお話になってしまった。せっかくのダイナミックな特殊効果を使ったスペタクルなアクションも、少しもったいないと思った。さらに付け加えると、原題の「at world end」という意味は「世界の果てで」だ。

タコのお化けみたいなデイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の心臓を手に入れた東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)は、海賊たちを次々と捕らえて処刑していく。イギリスの東インド会社が大々的に活躍する時代には、実際に海賊と呼べる集団はほとんどいなくなっていた。実在の海賊で後に海軍の提督になったドレイクは、イギリスのエリザベス1世をスポンサーにして対立しているスペインの船や植民地を襲撃した。その中にはアステカ文明のお宝も含まれていて、その財宝によってイギリスは覇権を握るのだ。だから少し深読みをすると、この海賊映画は統率された権力と戦う自由を求める人々を描いたものかもしれない。

わてはそう考えて、キャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)、サオ・フェン(チョウ・ユンファ)ら海賊たちがウィル(オーランド・ブルーム)やエリザベス(キーラ・ナイトレイ)に味方をして、ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)は自由を選んだと思った。ウィルが一時ベケット卿に取り入るが、それも予定調和というか最初からわかっていたのかもしれない。キーラ・ナイトレイが、海賊の一員になるという随分な活躍をして楽しい。

一番活躍するのは、やっぱり我らがジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)だ。マストの上に飛び上がってロープを使って、飛び移ったりする。また、エリザベスを救うために帆船の帆でカイトを作り、空中に飛び上がるシーンもすごい。一番の見ものは、ティア・ダルマ(ナオミ・ハリス)がある海の生物に変身して起こる出来事だ。これは、映画の終盤にやってくる。ブラックパール号とフライング・ダッチマン号が、大きな渦巻きの中で向かい合って対決するシーンは手に汗握る。

ベケット卿が海賊たちの反撃に会って、海のもくずになってしまうシーンは非常に凝っている。大砲の攻撃を受けて負けを認めた船長は、船と共に沈んでいくのを選ぶ。海の男の潔さを感じた。多少欠点も書いたが、反権力という大きなテーマがあると考えれば充分に納得できる出来だと思う。エンディングクレジットの後のおまけ映像は、予想できるものだった。それよりも、ジャック・スパロウが一人で海に漕ぎ出したのが気になる。是非、映画館の大画面で体験して欲しい。


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