スキャンダル

ハリウッドのプロデューサーが有罪になり量刑が禁固25年になる可能性があるというニュースを聞いて、この映画を見たくなった。本作ではFOXニュースで実際に起きたセクハラ事件を映画化している。歩行器を使っているFOXニュースのCEOが創業以来ずっとセクハラを続けてきて、いまだに続けていることにびっくりした。絶大な権力を握るテレビ業界の帝王ロジャー・エイルズに逆らったら、もう前途はないと思いこんでいる社員たち。周囲の雰囲気は長いものにまかれろというものだ。その中で、声をあげた女性が不可能だと思われていた道を進む。こんなセンシティブな内容の映画を製作できるアメリカはすごいもんだ。

ベテランキャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)は更年期の汗は見たくないというロジャー(ジョン・リスゴー)の言葉で、人気番組を降ろされる。そこで、長年苦しんできたロジャーのセクハラを訴えようと準備を始める。人気番組のキャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は差別発言の激しいトランプ大統領候補への攻撃を激しくしていく。女性蔑視の発言を批判しないばかりか、支持する人も多く世間の風当たりはきつい。

新人キャスターのケイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)はロジャーと面会するチャンスを得て部屋に行くが、そこでは忠誠心の証としてスカートをめくりあげろという屈辱的なセクハラが待っていた。ロジャーはまだセクハラをやめていなかったのだ。ケイラは新番組を受け持つことになるが、複雑な心境だ。そこへ、グレッチェンがロジャーをセクハラで訴えたという報道が入る。

会社全体がロジャー支持でまとまる逆風の中、女性たちは大きな壁に立ち向かっていく。まず、FOXニュース設立以前のロジャーの被害者の証言が出てくる。そして、メーガンもグレッチェンの味方になる。投資家のルパート・マードックは世論の動向を感じて、ロジャーに引導を渡す。つまり首ということだ。

そこまでの逆転劇を詳細に描いているのがとても感心した。これは苦しいことだろう。権力の座から堕ちる姿を克明に描いている。ニコール・キッドマン。シャーリーズ・セロン、マーゴット・ロビーの3人はそれぞれに光った演技をしている。すごい映画である。

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