罪の声

グリコ・森永事件をモチーフにした塩田武志の同名小説を、小栗旬と星野源主演で映画化した社会派ミステリーだ。昭和59年~60年に起きた大阪や兵庫を中心に起きた食品会社を標的にした誘拐脅迫事件は、その当時のマスコミを大いに騒がせ世間の注目を浴びたことを覚えている。20代半ばだった自分も離れた場所に住んでいたけど、大変なことになったと記憶している。これはあくまでも架空の物語なんだけど、事件の進行を忠実に再現しているように思う。犯人世代の人間はもう老人になっており、その子供たちが主役だ。

江崎グリコの社長が誘拐されたけど、見張りが手薄になった時を見計らって自力で脱出した。それから、色々な食品会社が脅迫対象になりお金を要求されて実際に3億円から5000万円の現金を犯人に手渡すために要求どおりに渡そうとした。でも、それらは尽く失敗する。犯人を一網打尽にしようつする大阪府警の方針が末端まで伝わらないで逃してしまうこともあった。キツネ目の男もその一人だ。

この映画では、身代金の要求を伝える声の主として使われた子供の一人が、洋服屋の曽根(星野源)だ。父の遺品から発見したカセットテープに自分の声が入っていて仰天する。曽根は叔父の手帳も見つけて、事件のことを調べ始める。一方、新聞社の阿久津(小栗旬)も当時の新聞記事などから事件の調査を開始する。もはや、刑事事件としても民事事件としても時効になっている。

登場人物が非常に多くて整理が難しいけど、親にこの文章を読むように言われた三人の子どもたちは重い宿命を背負って生きることになる。曽根はテーラーとして洋服屋を営んでいるけど、ほかの姉弟は軟禁状態にされてしまう。

途中で曽根と阿久津は合流して、協力して事件の捜査を進める。警察でもない二人がここまで調べられたのはあくまでも小説上の物語なのだ。大人たちの社会に対する憎しみから発生した事件は、関係ない子どもたちを巻き込んで犠牲にしてしまった。その不条理を晴らすべく真実を追求する姿が、勇気を与えてくれる。この映画は、重厚感あふれる弩級の内容である。見終わったあとに大変な疲労感に陥ってしまったけど、見応えたっぷりだ。ぜひ、劇場での鑑賞をお勧めする。星5個。

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