ロード・トゥ・パーディション

2002年10月28日 22時03分38秒
アカデミー賞主演男優賞を2度獲得したトム・ハンクスと、『ハスラー』(61)や『明日に向かって撃て!』(69)で知られる名優ポール・ニューマンの共演による父子の重厚な愛を扱った人間ドラマだ。監督は『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞作品賞を獲得したサム・メンデスだ。役者は最高である。特に、トム・ハンクスがとてもいい。

物語は1930年代のアイルランド系マフィアのファミリーの父と子の葛藤と愛を描いたものだ。マイケル・サリバン・ジュニア(タイラー・ホークリン)は、父がどんな仕事をしているか知らなかった。もう、12歳になれば色々興味を持ち出す年頃だ。
ある日、ジュニアは父マイケル・サリバン(トム・ハンクス)が帰宅して、懐からピストルを取り出すのを目撃してしまう。母も教えてくれなかった秘密を知ってしまったジュニアは、父が夜出かける車に隠れて父の仕事を知っていしまう。

父のサリバンは、ギャングのボス・ジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)に実の息子のように可愛がられていた。そして、ジュニアも孫のように遊び相手になっていた。ルーニーの実の息子のコナー(ダニエル・クレイグ)は、そんなサリバン一家を嫉妬の眼で見ていた。
サリバンの一家は、ジュニアと次男のピーター(リーアム・エイケン)と母アニー(ジェニファー・ジェイソン・リー)の4人家族で平和な日々を送っていた。

その日は雨が土砂降りの日で、車は倉庫街へ向かった。ジュニアは、明かりが漏れる扉の下から一部始終を目撃してしまう。トラブルから、父がマシンガンで相手を皆殺しにしてしまうのだ。そのトラブルを起こしたのが、ボスの息子のコナーであった。いわゆる出来の悪い息子である。

幹部会の席上で父から咎めを受けたコナーは、サリバンを逆恨みする。そして、サリバンを罠にはめて殺そうとする。サリバンと長男のジュニアは、その罠に掛からず生き延びるが次男と母は、殺されてしまう。

時代は大恐慌時代のアメリカのイリノイ州ロックアイランドの町、いなかの貧しいながらも肩を寄せ合って生きてきたマフィアの悲しい物語になってしまった。

一家を殺されたサリバンは、コナーの所に押しかけに行くがコナーは逃がされて、組織は和解金を用意していた。だが、サリバンはメッセンジャーを殺し、息子を連れてシカゴに向かう。

シカゴにはアル・カポネ逮捕後にボスの地位を得たフランク・二ティー(スタンリー・トゥッチ)がいた。しかし、そこにはもうルーニー父子が来ていたのだ。フランクの助けを得られなかったサリバンたちは、叔母サラの住むパーディションという町に向かう。そのサリバンたちには、殺し屋マグワイア(ジュード・ロウ)が差し向けられる。この殺し屋が変わっていて、自分が殺した人間を写真に収めるという変人である。

ジュニアは自分のせいで家族が殺されたと自分を責める。しかし、父は「お前のせいではない」と言う。パーディションに向かう最中に彼らは、ほんとうの父子の関係を築いていく。息子に車の運転を教え、銀行強盗をする。それも、アル・カポネの金をわざわざ狙って強盗をするのだ。これは大きな賭けだ。

カポネが金のためにコナーを見捨てる事を狙っていたのだ。一つ間違えば命がない。ボスとその息子、かたやその雇われの身の殺し屋とその息子、この二つの親子の関係は切ないね。もの悲しいね。土砂降りの雨の中のシーンが、とても切なくてジーンと来ます。家族の復讐と息子のために戦うトム・ハンクス、組織からも見捨てられそうになる息子を守ろうとするポール・ニューマン。

この二人の演技に泣かされました。監督のサム・メンデスは、アカデミー賞を取った『アメリカン・ビューティー』がデビュー作だが、この作品が二作目なんて驚異的だ。人物描写もいいし、映画の作り方も脱帽でしょ。イヤー、いい映画を観た。



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