ローレライ

2005年3月7日 18時05分
今年原作小説が続いて映画化される人気小説家福井晴敏の、「終戦のローレライ」を樋口真嗣が監督して映画化した作品だ。「踊る大捜査線」シリーズの亀山千広が製作を担当していたので、どうなることかと思っていたが意外と鑑賞に堪える映画だった。ドイツ軍からUボートを旧日本軍が接収できるかどうか、あり得ない設定ではあるがフィクションとして見ればおもしろい映画だった。あくまでも、SF戦時エンターテイメント映画なので歴史的考証などを考えてはいけない。

1945年夏、もはやドイツが降伏し日本の戦線も本土空襲が激しさを増して空前のともし火だった。そんな時、海軍作戦部の朝倉大佐(堤真一)は、ドイツ軍から接収したUボート507を「伊507」として日本海軍に用いて極秘作戦を敢行しようとしていた。朝倉大佐は、絹見真一少佐(役所公司)を艦長に選任して広島に落とされた原子爆弾の次を阻止しようとする。フィリピン沖のマーシャル諸島、サイパン島の南西に位置するテニアン島から飛び立つB29を阻止しようという計画だった。

8月6日に広島に原爆が落とされたのだから、3日後の長崎には間に合わない。でも、その次に東京にも同じ爆弾が落とされるという。こういう情報がわかるということは、アメリカ側の情報がわかっているということになる。もちろん、映画でも徹底抗戦の軍部とは別に、アメリカと極秘裏に和平を結ぼうと元アメリカ大使たちが動いている。朝倉大佐も、その狙いを持って「伊507」内に自分の息の掛かった一味を潜り込ませていた。

朝倉たちがアメリカと和平を結ぶ見返りとしては、「伊507」の海中探索能力が抜群の性能を持っていたからだった。その秘密は、「伊507」の特殊潜行艇の中に閉じ込められていたパウラ・アツコ・エツナー(香推由宇)にあった。彼女はナチスドイツの特殊実験で、超能力を身につけ潜水艦内にいても外の状況を見ることができる能力を持っていたのだ、「伊507」は、その能力を潜水艦自体のソナー性能として結びつけ無敵の威力を持っていたのだ。朝倉たちの企みは、この秘密兵器と交換で和平を結ぶというものだった。

長崎に原爆が投下されてから、第三の原爆投下を防ぐために役所公司扮する乗組員たちは決死の作戦を決行する。この無謀ともいえる作戦を、最後まで観客を引きつける映像を作り出した製作陣の努力はなかなかのものだ。まあ、お話に無理な展開もあるけど、そこそこ楽しめる映画になっている。潜水艦映画の傑作「レッドオクトーバーを追え」などと、比べるのは酷というものだ。

日本映画も、ここまでできるようになったことに感心した。物語の焦点をもっと絞れば、もっとよかったのだが。



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