グーグーだって猫である

グーグーだって猫である誰の原作かも知らず、小泉今日子主演という前知識だけで見に行った。猫が出てくるということで、可愛い猫と人間のお話だと軽い気持ちだった。

ところが、単純な可愛い猫のお話ではなかった。大島弓子原作の自伝的同名漫画の映画化だった。さらに、可愛がっていた猫が亡くなってペットロスという状況になった主人公・麻子(小泉今日子)が、もう一度猫を飼い始める。一度可愛がっていた猫や犬を失ったら、もう一度同じ動物を飼うまでには相当の葛藤がある。

この映画ではその葛藤もしっかりと描いた上で、麻子がアメリカンショートヘアーのグーグーを飼い始めて立ち直って新しい漫画も取り組み始める。アシスタントのナオミ(上野樹里)や三人のアシスタント(森三中)とのやり取り、知り合った青年(加瀬亮)とのロマンスもしっかりと描かれている。さらに、デビューして約15年の麻子に健康問題が持ち上がる。

麻子は入院して手術を受けなければいけなくなり、数ヶ月の入院生活を送る。全くわてが予想していたのと違うお話で、びっくりしてしまった。ペットロスに自分の入院手術となれば、暗い内容の映画になりがちだ。

ところが、犬童一心監督・脚本と原作がいいのだと思う。悲しくなりがちなお話を、猫の可愛さと周りの仲間のユーモアで心温まる映画にしてしまった。音楽の細野晴臣もいいし、テーマソングを歌っている小泉今日子もいい。猫の描き方もしっかりと躾があって、当たり前のように去勢避妊手術がある。

これは、久しぶりの日本映画の秀作にめぐり合った。是非お勧めする。ゴロゴロ。

2008年10月14日 16時16分
誰の原作かも知らず、小泉今日子主演という前知識だけで見に行った。猫が出てくるということで、可愛い猫と人間のお話だと軽い気持ちだった。ところが、単純な可愛い猫のお話ではなかった。大島弓子原作の自伝的同名漫画の映画化だった。さらに、可愛がっていた猫が亡くなってペットロスという状況になった主人公・麻子(小泉今日子)が、もう一度猫を飼い始める。一度可愛がっていた猫や犬を失ったら、もう一度同じ動物を飼うまでには相当の葛藤がある。さらに主人公の健康問題が持ち上がって、映画としても劇的な物語の展開だった。

麻子(小泉今日子)は高校を卒業して上京し、すぐに漫画家としてデビューして15年を経過していた。締め切りに追われて売れっ子漫画家になった麻子の家には、13年連れ添ってきたサバという猫が住んでいた。映画は、そのサバが仕事部屋にいる麻子やアシスタントの様子を見ているシーンから始まる。やがて、サバは麻子に「さようなら」と思いながら静かに息を引き取る。仕事が一段落した麻子がサバに近づくと、亡くなったことに気がついて大泣きする。そして、仕事ができなくなってしまう。

いわゆるペットロスという精神状態で、死んでしまったペットを愛している度合いが深ければダメージが大きい。アシスタントのナオミ(上野樹里)や他の三人(森三中)たちは心配するが、こればかりは本人が立ち直るしかない。ある日、麻子はペットショップでアメリカン・ショートヘアーの子猫に出会う。その可愛さを気に入った麻子は、「グーグー」と名づけて飼いはじめる。麻子の家は吉祥寺の井の頭公園のすぐ近くにあって、猫を飼うには恵まれた環境だった。

猫の躾けには、花王のニャンとも清潔トイレが使われて当たり前のように室内飼いがされている。そして、去勢避妊手術も当たり前の習慣になっているのが感心した。麻子はやっと元気になり、仕事を始めようという気持ちになる。ところが、今度は突然の腹痛に襲われて医者に診てもらうと、子宮がんだと判明する。ちょっといいことが訪れると、健康に不安がやってくる。映画の展開としては、絶妙な脚本だ。原作が自伝的な漫画なので、より現実味がある。

麻子は入院して手術を受けることになり、グーグーはナオミたちが預かることになる。なぜ名前がグーグーなのか、猫が人の人生のかけがえのないパートナーとなることをラストにかけて幻想的に描いている。この御伽噺のような終わり方は、人間と猫の共生する社会を象徴していると思う。ほのぼのした気分で、映画館を後にした。幸せな気分が、得られた。



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