宇宙戦艦ヤマト 復活篇

わては、1974年のテレビ放送に夢中になっていた年代で映画版には詳しくない。1983年の「完結篇」以来、26年ぶりに製作されたという。原案石原慎太郎と一番に出てくるが、それほど右系の内容ではない。入るナレーションも最低限で、テレビ版のファンの期待を裏切ることはない。それよりも、日本フィルの音楽が雄大であり、戦闘シーンが迫力あるので満足だった。

この「宇宙戦艦ヤマト復活篇」に期待するのは、単純な侵略者と地球人という図式であって星間連合の複雑な権力闘争なのだろうか。銀河系そのものも、宇宙の中では一つの構成要素であり地球という存在が小さいものだというのは製作者も言っている。それなのに、物語の終結が地球は大切に守るべき貴重だという点になるのは風呂敷を広げすぎたと思う。

せっかく、SUSやアマール星やエトス星などの色々な宇宙人たちが登場する話にしたのに、最後は異次元の住人が敵になるとは残念だった。まだ続編がありそうな終わり方だったけど、原案者と監督西崎義展らのクレジットがあんなに大きな文字で出てくると困ってしまう。あの巨大文字のクレジットは、あの方々の名前を非常に強調したいということか。

移動する巨大なブラックホールが地球に直撃しそうだというので、地球人たちは2万7000光年の距離の星に移住を計画する。その移住船団を護衛する「宇宙戦艦ヤマト」の戦いぶりは、まさに獅子奮迅の見事さだ。また、丁寧にまかれた付箋を一つ一つ拾い上げていく脚本は、非常にわかりやすい。というよりも、簡単に予想できてしまう。

テレビ版アニメを見た我々の世代は満足できるかもしれないが、若い世代にはどうだろうか。古代進がいつまでも妻の雪を捜し続ける姿勢や娘の父へのわだかまいが解けないのも、浪花節そのものだ。さらに、戦い方が古すぎないか。旗艦であるヤマトと、その周囲に護衛艦がいる。そして、移動部隊がヤマトから出撃する。これでは、沖縄沖に沈んでいる戦艦大和が復活して活躍している様子を描きたいのかと思ってしまう。

新しい表現を見たい映画ファンは、もっと新しい解釈のヤマトを期待している。実写版のヤマトが製作されているらしいが、どうか浪花節にならないようにしてほしい。



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