ゴールデンスランバー

携帯より一言投稿。オズワルドや教科書倉庫ビルという言葉が出てくるように、J・F・Kの事件が元になっていることがわかる。原作の同名小説(伊坂幸太郎著)はあるが、比較の対象になる映画はハリウッドの名作(ダラスの熱い日やケヴィン・コスナーのJFK)になってくる。若干テンボがゆっくりだが、邦画の健闘ぶりがしっかり楽しめる。

以下、PCより。自由党の金田首相が故郷の仙台に帰郷して、凱旋パレードを行う。オープンカーのパレードで、前後をしっかりと警備車両がガードしている。そのパレードの行われている通りの脇道には、30歳の独身の青柳(堺雅人)と大学時代の同級生の森田(吉岡秀隆)が乗った車が止まっている。青柳は仙台の街中に呼び出されたのに、釣りに行く格好をしている。それに対して、森田は街着であり全く合っていない。そのアンバランスがわからないほど、青柳はお人よしだった。

森田は、「お前オズワルドにされるぞ。とにかく逃げろ。どんなに惨めになっても、生き延びろ。」と言う。メインストリートで爆発音がして大騒ぎになって、すぐに自分たちの乗っている車に警官が近づいてくる。車に爆弾が仕掛けられているという森田の言葉を信じて、青柳は外に出る。警官の制止を無視して車から離れると、爆発して森田もろとも炎に包まれる。警官も、倒れてしまう。

大学の後輩の小野一夫(劇団ひとり)のマンションに逃げ延びるが、そこにも警察の手が回っていた。不自然な対応に疑問を持った青柳は、一夫を残して逃亡する。その頃には、大学卒業後も付き合っていた樋口晴子(竹内結子)もニュースで青柳が首相暗殺犯になっていると気がつく。晴子は青柳と6年前に別れて、信幸(大森南朋)と結婚して女児を授かっていた。

逃亡する青柳に対して、散弾銃を向けて発砲してくる警察庁の小鳩沢(永島敏行)が出てくる。明きからに権力側の横暴があると、考えられる。佐々木一太郎(香川照之)は一旦青柳を捕らえ、青柳に自首を強要するが全く信じられない。交番から少し離れた場所に車を止めて、歩いて行けと命令される。それまでかと思われた瞬間、何者かの運転するRV車が覆面パトカーに突っ込んでくる。

RV車を運転していたのは、なんと連続通り魔のキルオ(濱田岳)だった。青柳は、キルオの助けを借りて逃げることができる。指名手配されても捕まらないキルオには、監視カメラを避けて人目に触れない暮らし方をする知恵があった。青柳はキルオのやり方を徐々に習得して、晴子たちの助けを借りながら強大な権力に対抗していく。

仙台の雨水管や下水管を使ったオールロケや、仙台の中心街を交通遮断して行われたパレードのシーンがすばらしい。監視カメラに頼る警察側は、そのカメラの落とし穴にはまっていく。携帯電話の盗聴は目標の番号がわからないと、日本の警察レベルでは機能しない。大学時代に同じ仲間だった彼らの目に見えないつながりには、メカニカルな警察は対抗できないのだ。

「Golden Slumbers」(黄金のまどろみ)というビートルズの曲は、分裂寸前だったメンバーの言い分をポールが一人で奮闘して作った。その歌に込められた仲間を大切にする想いが、エンディングにかけて結実していく。クールに決めた締めくくりに、湿った人情物語ではない爽快感が感じられる。まるで、杜の都を吹き抜ける風のように。



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