インビクタス/負けざる者たち

名匠クリント・イーストウッド監督の、「インビクタス」を見た。最後の方に近づくにつれて、感動の涙が出て止まらなかった。ラグビーの応援を普段しているわては、大男たちがスクラムやタックルでぶつかる音が迫力満点だった。普通スタンドかでは、絶対に見ることができない場所から選手たちを間近に感じる。まるで、自分もそのゲームに入り込んでいるような錯覚に陥った。それと、オールブラックスのハカの迫力をあの距離で感じることができて幸せだ。27年間刑務所に収監されていたネルソン・マンデラ大統領(モーガン・フリーマン)の不屈の闘志と、マット・デイモン演じるフランソワ・ピナールのキャプテンシーが相乗効果になって終結している。

現在でこそ、南アフリカ・スプリングボックスは、ニュージーランド(オールブラックス)やオーストラリア(ワラビーズ)と並んでラグビーのトップ3を形成している。アパルトヘイトが撤廃されて、ネルソン・マンデラ氏が大統領に選出される。スプリングボックスは国際大会に出場していないので、実力のほどがわからない。黒人中心に設立されたラグビー協会では、チームの愛称もチームカラーも変えてしまおうとする。でも、ここで大統領はあえて白人の作ったものを壊さない決断をする。

大統領が一番最初に執務室に入ってくるとき、白人のスタッフが持ち物を片付けている。そこでスタッフ全員を集めて、「新しい国づくりに寄与したい人は、肌の色に関係なく残って欲しい」と演説をするのが感動的だ。この映画の方向性は、この演説に集約されている。これがあったから、大統領の警備スタッフにも肌の色は関係なくするし、黒人の子供たちに白人の選手がラグビーを教えたりする。

1995年6月24日にエリス・パークで行われたラグビーワールドカップ決勝は、ドロップゴールやペナルティーゴールだけしか点が入らない。スプリングボックスとオールブラックスの決勝は、まさに真正面からぶつかったがっぷり四つの試合になった。特にオールブラックスのバックスのジョナ・ロムーは、207cm・120kgの体格なのに100mを10秒台で走る身体能力を持っていた。ものすごい試合内容だ。

決勝戦で注目したいのは、ペナルティーキックの原因になったのがノットリリースザボールやオーバーザトップなどの反則だという点だ。試合内容が全部描かれていないのでなんとも言えないけど、ノッコン(ボールを前に落とすミス)やノットストレイト(スクラムやラインアウトでボールをまっすぐに入れない)のような初歩的ミスがないことだ。こういう試合内容になると、点数が拮抗する場合が多い。

さらにわてが感心したのは、ネルソン・マンデラ演じるモーガン・フリーマンが、映画冒頭の記録映像風のシーンにも出ていたことだ。国連総会での演説も刑務所から開放されるシーンも、あれはモーガン・フリーマンだと思う。映画のエンディングクレジットにかけての部分で、はじめて本人の記録写真が登場する。そこまでやるのかと、驚いてしまった。まだ、IMDBで確認していないので違うかもしれないが(IMDBには記載なし)。

IMDBでのトリビアを加える。エリスパークの試合のシーンは2000人くらいのエキストラしか使わないで、CGで6万2千人の観衆を描いている。マッド・デイモンら出演者は、スプリングボックス唯一の黒人選手だったチェスター・ウィリアムズ本人からラグビーの指導を受けた。マッド・デイモンは、フランソワ・ピナール本人に実際に会って話を聞いている。オールブラックスのジョナ・ロムーを演じたのは、Zak Feaunatiというラグビー選手だ。試合前にオールブラックスの儀式ハカは、ニュージーランドラグビー協会からじきじきに指導を受けて撮影している。

ついでに付け加えておくと、ラグビー日本代表は当時弱かった。でも、2019年には日本でそのワールドカップが開催されることが決まっている。7人制ラグビーでは、日本は今世界のトップレベルにある。15人のラグビーでも、ベスト16に入る実力は持っている。IRB(internatinal rugby board)の2010年2月1日の世界ランキングは、13位だ。ということで、皆様にお願いです。もっとラグビーの試合を見に行きましょう。日本ラグビーフットボール協会ジャパンラグビートップリーグ。参照。



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この記事へのコメント
こんばんは☆
オイラはラグビーのことはよくわからないのですが、この映画はホンマ最後の方に行くにつれて、涙が止まらない感じになってしまいました。
素晴らしい映画ですねぇ♪
Posted by トラヴィス at 2010年02月07日 00:49
トラヴィスさん、わても最後のほうは涙が止まりませんでした。
ほんとうにお勧めの映画です。
ゴロゴロ。
Posted by とらちゃん at 2010年02月07日 19:43
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