パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々

欧米では一般常識になっているギリシャ神話の登場する神々が、現代も存在しているという設定で作られた映画だ。「ハリー・ポッター」シリーズの監督だったクリス・コロンバスが、リック・リオーダンの児童文学を原作に人間と神々の間に生まれた少年を主人公にした冒険物語だ。日本でいう神話の物語が、欧米ではギリシャ神話だ。日本人でギリシャ神話に詳しい人はまれなので、見ていて大変新鮮な気持ちになった。

日本で神話の主人公を題材にした映画というと、ちょっと想像できない。でも、ギリシャ神話の神々はホメロスの叙事詩やローマ帝国の時代の歴史家、その後の研究者の功績で文献をもとにした神話学だけでなく実際に発掘されたものから考古学での研究も進んでいる。そのおかげで、映像化できるというのがすばらしいという感覚も覚えた。

物語の内容は子供向きとも思えるが、海の神ポセイドンの子供パーシー・ジャクソン(ローガン・ラーマン)が水を自由に操ったり、目を見ると岩になってしまうメドゥーサ(ユマ・サーマン)、半人半獣のケンタウロスや下半身がロバのサテュロスが見られるのは大変におもしろい。

また、パーシー・ジャクソンが人間の学校では学習障害や多動性障害(ADHD)だという設定も、それがその子の欠陥ではなくて能力として認めている描き方をしているので好感を持った。同級生のグローバー(ブランドン・T・ジャクソン)は松葉杖を使っているけど、ロバの足を持っているのを隠しているだけだった。さらに、ブルナー先生(ピアーズ・ブロスナン)は車椅子の生活を送っているけど、実際にはケンタウロスだ。

ゼウス(ショーン・ビーン)の持ち物である稲妻が、ある日何者かによって盗まれてしまう。天上の最高神であるゼウスは多くの神様のまとめ役であるけど、神の持ち物である物を盗むのは関係者しかいない。つまり神様たち同士で争いが起きるというのだ。その犯人に疑われたのが、海の神ポセイドン(ケヴィン・マクキッド)の息子パーシー・ジャクソンだった。

パーシーは自分がそんな特殊な出身だとは知らないので、突然の化け物たちの襲撃に事態を飲み込めない。でも、キャンプ(訓練場)に連れて行かれたパーシーは運命を受け入れて、グローバーと知恵の女神アテナを母に持つアナベス(アレクサンドラ・ダダリオ)の協力を得て稲妻を取り戻す旅に出る。キャンプに到着する寸前に、母を誘拐されたので母親救出の目的もかなえるために。

ニュージャージー、ナシュビル、ラスベガスと旅を続けた一行は、最後の目的地冥界・ハリウッドにやってくる。ハリウッドという看板が山の斜面にあるのを見たことがあるけど、その山の斜面に冥界の入り口があるという設定は皮肉だ。しかし、事件が解決した後、あのキャンプで訓練をしているデミゴッドの人たちはどうするのだろう。

ギリシャ神話について少し説明。クロノスの末弟として生まれたゼウスは、父に飲み込まれた兄弟姉妹を救うために父にはき薬を飲ませる。そして、兄弟姉妹を救ったゼウスはオリンポス山の王になって、子供を作っていく。ゼウスの兄弟にはポセイドンやハデスが、いた。ハデスは冥界の王になってしまうが、他のものはオリンポスの12神になる。アナベスの母アテナは、処女の誓いを立てた神様なので娘がいるのはちょっとおかしい。

ロータスというカジノが映画の中に登場する。その話も、ギリシャ神話にあるそうだ。SMGW episode12を参照した。ロータスは、ハスやスイレンの花のことでもあり有名な車にも名前がある。ギリシャ神話では故郷に帰る途中で、その花を食べて「もう帰りたくない」気持ちになってしまうという話しがあるそうだ。まさに、この映画のお話そのものだ。



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この記事へのコメント
 こんにちは^^

3/1 に パーシー・ジャクソンと......

を見に行ってきます。^^

大変 参考になりました~★
Posted by みっきいママちゃんみっきいママちゃん at 2010年02月28日 09:29
みっきいママちゃん、それはよかったです。
楽しんできてください。ゴロゴロ。
Posted by とらちゃん at 2010年02月28日 13:23
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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
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