バレンタインデー

ロバート・アルトマン監督の「ゴスフォード・パーク」という登場人物が20人以上の映画を見た後なので、この男女15人の恋愛模様を描いた「バレンタインデー」を非常に興味深く鑑賞できた。群像劇の巨匠アルトマンには及ばないが、「プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャル監督もうまい。脚本・原案のキャサリン・ファゲイトが、健闘している。ジェニファー・ガーナー演じる小学校のジュリア先生が聖バレンタインの由来を説明しているが、その内容がこの映画の核心になっている。

色々な説があるけど、スーザン先生は「ローマ皇帝クラウディウス2世がローマ兵士の婚姻を禁止したので、ウァレンティヌスという司教が秘密裏に兵士を結婚させていた。それが皇帝に知られて、処刑された。」と説明する。ウァレンティヌスは3世紀の聖職者である。当時は、ローマの兵士は戦争のために結婚も禁止されたのだ。そんな歴史を踏まえつつこの映画を見ると、ジュリア・ロバーツ演じる女性将校ケイトが非常に重要な役を担っているのがわかる。

ケイトが11ヶ月ぶりにロサンゼルスに帰るのは、愛する人にどうしても会いたいからだ。飛行機で隣同士になったホールデン(ブラッドリー・クーパー)の肩に寄りかかって寝てしまっても、そんなことは問題ではないのだ。バレンタインデーで繁盛する花屋のオーナー・リード(アシュトン・カッチャー)は、同棲しているモーリー(ジェシカ・アルバ)に指輪を送る。

小学校教師のジュリア(ジェニファー・ガーナー)は、医師のハリソン(パトリック・デンプシー)と熱い夜を過ごしたけどサンフランシスコに出張する彼を追いかけようとする。スポーツ選手のマネジメント会社の秘書リズ(アン・ハサウェイ)は、同僚の郵便係りのジェイソン(トファー・グレイス)と盛り上がる。でも、ジェイソンはリズにたびたび掛かってくる電話に疑問を持ち始める。

結婚50年のエドガー(ヘクター・エリンゾ)とエステル(シャーリー・マクレーン)は、いまだにプレゼントの交換を忘れない理想のカップルだ。でも、ちょっとしたことで溝ができる。彼らの孫エディソン(ブレス・ロビンソン)は、ジュリアの生徒で学校に好きな子がいる。また子守のフェリシア(テイラー・スウィフト)は、高校の同級生と初体験をしようと計画している。

スポーツキャスターのケルビン(ジェイミー・フォックス)は、有名QBのショーン(エリック・デイン)の代理人カーラ(ジェシカ・ビール)に取材をしようとする。でも、ディレクターからバレンタインの取材を命令されて花市場に行かされる。

わてが好きなシーンは、「バレンタインなんか大嫌い」パーティーの様子や「プリティ・ウーマン」に使われたビバリー・ウィルシャー・ホテルのシーン、ハリウッドの墓地でシャーリー・マクレーンの主演した「Hot Spell」(1958:日本未公開でIMDBにしか詳細はない)が上映されるシーンだ。もちろん、ジュリア・ロバーツの本当の目的がわかるシーンは少し涙が出そうになった。

基本的にはロマンティックコメディだけど、11ヶ月に一日しか家族に会えない女性将校の気持ちが胸にしみた。アメリカ国民が、もう戦争はまっぴらだと感じているのだ。さらに、「恋は自然の成り行きで進む」という言葉は、真実だと思った。



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