ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ

甲斐谷忍原作の漫画もテレビドラマシリーズも知らないけど、正直者と嘘つきという究極の対決の物語はことのほかおもしろかった。馬鹿がつくほどの正直者の女子大生直(戸田恵理香)と、元天才詐欺師秋山(松田翔太)がだましあいのゲームを戦う様子は、この世の中の現状を凝縮しているようだ。ということになると、落としどころは想像がつくのだが、簡単な脚本ではないので見ごたえがあった。練りに練った脚本によって、ワクワクドキドキ感を最後まで堪能できた。

得体の知れない組織によって、一般市民がゲームに参加させられる物語は、過去の映画で何度も素材になっていると思う。でも、正直者が損を見る世の中でこのような物語は、時代に合っていると思う。「信じあう心」があれば参加者全員が幸せになれるけど、世の中単純に他人をそのまま信じるのは難しい。そこで、疑う人間が出てきた場合に、多数決という要素を入れたことが面白さを増している。裏切り者の中にも、多い派閥が勝つのだから今の政治家みたいだ。

ライアーゲームというこのゲームの決勝戦は、離れ小島で行われる。どうも、準決勝があったらしく、勝ち残った11名が閉ざされた空間に入れられる。11名の参加者は殺しあったりすることはなく、赤・シルバー・ゴールドの三色のリンゴを箱に入れるだけのゲームをする。みんなで赤いリンゴを選ぶと、参加者全員が1億円をもらえる。でも、違う色に入れる人間が出ると、信じない人間が得をする仕組みになっている。そのゲームを13回行い、一番多くの賞金を獲得したものが勝利する。

正直者の女子大生直(なお)が最初に主張するのは、「全員が赤に連続して13回投票すれば、11人の参加者が一人も落ちこぼれることなく13億円づつを得る」という理想論だ。でも、嘘つきゲームを決勝まで戦ってきた海千山千の参加者が素直に言うことを聞くわけもなく、一波乱も二波乱もある。13回の投票ごとにドラマがあって、映画としての見ごたえがたっぷりと工夫されている。

50億円という優勝者の賞金と、ゲーム中の獲得額がプラスの参加者の数億円も用意するのだから主催者は相当の道楽者だろう。というか、普通のゲームなら参加者をもっと多くして、胴元が取る賞金と配分する賞金をしっかりと計算する。いい例が、宝くじの最高賞金3億円だと思う。3億円を100本出しても、胴元はしっかりと儲かるようにできている。ところが、このゲームにはその心配の入り込む余地がない。この割り切った設定のおかげで、スケールの大きな物語になった。これは、楽しい映画です。



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