ダーリンは外国人

小栗左多里原作の同名漫画を、井上真央主演で映画化した作品だ。ひげもじゃのダーリンと小柄な彼女のイラストは何度か見たことがあるし、映画の宣伝の仕方からお手軽なコメディだと予想していた。でも、その予想はいい意味で裏切られて、しっかりとした男女のラブストーリーになっていた。日本の常識が通じない外国人でも、人間的に思いやりがあったり人一倍純粋な人はいるだろう。国際結婚でも、赤の他人が夫婦になることは同じだと示してくれた。お勧めだ。

売れないイラストレーターのさおり(井上真央)は、漫画家になるのを夢見ていた。実家を飛び出して父(國村隼)と母(大竹しのぶ)に心配をかけているが、なかなか芽が出ない。ある日、国際交流協会の仕事で知り合ったトニー(ジョナサン・シェア)に一目ぼれして付き合うようになる。漢字マニアで日本語ぺらぺらのトニーは、ニュージャージーから来日したアメリカ人だ。奥手なトニーと何回もデートをして、やっと同棲生活をするようになる。

姉の三佳(国仲涼子)が結婚することになったので、さおりははじめてトニーを両親の前に連れて行く。「あなただまされているのじゃないの。どう見ても外国人じゃない。」と言う母は、トニーの性格を気に入ってしまう。ところが、頑固な父は「漫画家になると家を出て、中途半端だ」と言い交際を許さない。困ったさおりは、父の言葉をトニーに伝えないで仕事に熱を入れていく。

姉の結婚式に出る前までは、お互いに助け合い仲良く暮らしていた。でも、父に喝を入れられて仕事一本になるさおりは、仕事部屋にこもり家事をトニーにだんだん任せていく。自然と二人の間の会話は少なくなり、気持ちのすれ違いが出てくる。そして、父が突然倒れたと知らせが入り、病院にトニーと二人で駆けつける。そこで、はじめて二人きりになった父は、トニーに交際を許さなかったことを告げる。

自分たちの交際が許されていなかったことを父の病室ではじめて知ったトニーは、自分がさおりから一人前に信頼されていないと感じる。そこから、さおりとトニーの溝は決定的になり、トニーは一人でアメリカに帰国してしまう。本来は二人でトニーの実家に行くはずだったのに、別れ別れになってしまう。実家に帰ったさおりは、母から”朝食に日本食を食べたい父とパン食を食べたい母”の衝突の話を聞かされる。新婚三ヶ月目の両親たちが、朝食にパンと味噌汁を食べるようになった話は、結婚生活をうまく続ける秘訣が凝縮されている。

見たあとに爽やかな気分になれるラブストーリーだ。ハリウッドのラブコメディに匹敵するくらいの、すばらしいまとまりを感じた。100分という上映時間もちょうどいいし、aikoのテーマ音楽もいい。



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