グリーン・ゾーン

ラジーフ・チャンドラセカラン著のノンフィクションを原作に、ジェイソン・ボーンシリーズのポール・グリーングラスが監督してマット・デイモン主演で映画化されたものだ。2003年3月から始まったイラク戦争の開戦理由の一つになった大量破壊兵器の保有が幻想だったことは周知のことだが、人々の記憶から薄れつつある。まだ7年程度しか経っていない自国の過ちをサスペンスとアクションの娯楽映画にしてしまうのはすごい。「ハート・ロッカー」ほどの息詰まる描写はないけど、製作者の意気込みはたっぷりと伝わる。

湾岸戦争が終わった1991年に、イラクには大量破壊兵器の破棄が義務付けられた。でも、サダム・フセイン大統領はアメリカをけん制したいという目的のために、あたかも大量破壊兵器が存在しているふりをしていた。これは、後日捕らえられた彼自身が語っている。しかし、この映画の舞台になっている2003年3月~5月の時点では、開戦したばかりで最前線の兵士にはわかるすべもない。それを、この映画で描かれていることが大筋で事実ならあの戦争はなんだったのか愕然とする。

2003年3月19日に開戦したイラク戦争は、アメリカとイギリスが最初主導的に進軍した。すぐにバグダッドまでアメリカ軍は到達して、フセイン政権が倒壊した。大統領宮殿周辺に絶対的に安全な「グリーン・ゾーン」が設置されたことは知らなかったけど、治安の悪さは知っている。米国陸軍の大量破壊兵器捜索部隊の隊長ロイ・ミラー上級准尉(マット・デイモン)は、部下といっしょに軍情報部からもたらせる手がかりをもとにそれを探していた。でも、何度も突入しても全く見つからない。

ある日、ロイ・ミラーはイラク人の通訳フレディ(ハリド・アブダラ)の必死の訴えを聞く。彼が言うのは旧政権の幹部たちがいると思われる家があるというので、ミラーたちは密かにそこに向かう。その住宅にはアル・ラウィ将軍(イガル・ノール)と部下が、会合を開いていた。でも、大半のものに逃げられて、数人を捕まえる。尋問しようと連れて帰る途中、軍の他の部門のヘリが来て彼らを強引に横取りする。それは、国防総省のパウンドストーン(グレッグ・キニア)の指示だとわかる。

独自の調査を展開しているCIAのマーティン・ブラウン(ブレンダン・グリーンソン)も、パウンドストーンの情報源に疑問を持っていた。ブラウンとミラーは協力しながら、国防総省の情報操作の真相に迫っていく。まだ開戦当初なので、それほどの反米意識が民衆にないのかもしれない。フレディの行動もあまりにも出来すぎている。でも、「ハート・ロッカー」のようなハードな表現でないので、娯楽作品としても見ることができる。

ちなみに、CIAも国防総省もみんな大量破壊兵器があると思っていたのが事実ではなかったかな。たぶんに、都合よくお話ができていると感じた。



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