パリより愛をこめて

原案リュック・ベッソン、「96時間」のピエール・モレル監督、ジョン・トラボルタ主演のCIAエージェントが活躍する映画だ。若手のエージェントがベテランでやり手とコンビを組んで、厳しい現実と向き合いながら成長していくアクション映画は、古典的で何回も作品になっている。若手のアメリカ大使館員にはジョナサン・リス・マイヤーズ、やり手で型破りなエージェントにはジョン・トラボルトが演じている。トラボルタが実に楽しそうに演じているのが、観客にも伝わってくる。スピード感溢れる編集とカメラワークが、迫力満点の演出に寄与している。

フランスのアメリカ大使館に勤務するジェームズ・リース(ジョナサン・リス・マイヤーズ)は、4ヶ国語を操るエリートでありながらCIAの見習いをしていた。車を都合したり、荷物を運ぶ程度のお使いみたいな仕事を続けていた。早く一人前の仕事をしたいと思っていたが、なかなか許可がでない。ある日、フランスの大臣の部屋に盗聴器を設置する仕事を言いつけられる。失敗しそうになるが、なんとか間一髪で成功させる。

その後、シャルル・ドゴール空港についた凄腕のCIAエージェントを迎えに行くように命令される。別室でフランスの税関の役人と押し問答をしているチャーリー・ワックス(ジョン・トラボルタ)は、持ち物の缶詰を持ち込みたいと言い張っていた。ジェームズはとっさに「外交文書」というシールを貼り付けて、その場を切り抜ける。この機転のよさが、後々生きてくる。缶詰の中には、ワックスが本国から持ち込んだ拳銃が入っていた。空港を出た二人は、さっそく中華料理屋に向かう。

何も知らないジェームズは、中華料理を食べるのかと思う。でも、ワックスの目的はヘロイン密売組織の本拠らしいその中華料理屋に直接乗り込んで、テロ組織の資金源から捜査を開始することだった。中華料理のコックたちがマシンガンで攻撃してくるのを反撃して、天井を撃ち抜くと白い粉が落ちてくる。それを壺に入れたジェームズは、ワックスの助手として行動を開始する。ヘロインの販売元締めを探り出して、捜査を続けるワックスたちは、ジェームズのフィアンセ・キャロリン(カシア・スムートニアック)に疑惑の可能性を見つける。

007の「ロシアより愛をこめて」がこの映画のタイトルのヒントになっている。劇中には、リュック・ベッソンの出世作「ニキータ」がどこかで映っている。また、ベッソン本人もどこかのシーンでカメオ出演している。ワックスがテロリストの車に向けて発射するのは、TOWという対戦車ミサイルだ。ワックスとジェームズが別れるときにお互いの拳銃を見せ合うシーンで、ジェームズがワックスより大きな拳銃を見せる。それは、「ビバリーヒルズ・コップ」のローズウッド刑事が銃マニアになるのと似ている。

それにしても、ジェームズが血まみれになった腕や顔を洗うシーンがたっぷりと時間が取られていたのは、重要な意味があったのだ。冷酷非道なテロリストに対抗するためには、ワックスのように思い切りのよさが必要だ。無駄なシーンが一切ないほど、濃密な脚本だった。



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