マイ・ブラザー

やっと静岡県西部で公開されたので、TOHOシネマズ・ららぽーと磐田で見た。デンマーク映画「ある愛の風景」をアメリカに舞台を移してリメイクされた映画だ。アフガニスタンに派遣されたアメリカ海兵隊の心の病を真っ向勝負で描いている。主人公役のトビー・マグワイアが、かなりの減量で迫真の演技をしている。テロとの戦争と称してアフガニスタンやイラクから帰還した元アメリカ兵が、PTSDやうつ病などの心の病に苦しんでいるのはニュースでも報道されている。わての感想は、まさにわてと全く同じだというものだ。戦場であれほどのショックの出来事を経験すれば、どうかならない人間がおかしい。

兄のサム(トビー・マグワイア)の高校時代はアメフトのクォーターバックで、チアガールのグレース(ナタリー・ポートマン)と結婚して海兵隊の大尉になっている。弟のトミー(ジェイク・ギレンホール)は、一家の厄介者で銀行強盗で服役中だ。映画冒頭でサムは弟のトミーの仮釈放を出迎えるために、刑務所にいく。サムは一度アフガニスタンに派遣されて、数日後には再派遣されてしまう。それは、あたかも兄弟の生き方が入れ替わるような場面だ。

サムはアフガニスタンに派遣されて、最初の任地にヘリコプターで向かう途中RPGで撃墜される。生死は不明だったが、山奥の異国なので遺体はなく死亡報告が届く。小さな町はすべての商店がシャッターを下ろして、葬式に参列する。元海兵隊の父ハンク(サム・シェパード)は、弟に「お前には悲しんでくれる家族がいるか」とつらく言い放つ。でも、弟のトミーは、マギーとイザベルの幼い姉妹の遊び相手になろうと兄がいない家族を支ええようとする。

グレース一家は、トミーの支えで子供たちがすぐに元気になる。でも、夫をなくしてしまったグレースの悲しみは簡単にいえない。やっとグレースが元気になりかけたころ、サムがアフガニスタンから奇跡的に救出される。サムはゲリラに捕虜になっていて、非常にひどい仕打ちを受けていた。魂の抜け殻になったサムは、驚きをもって故郷に迎えられる。

サムが見せる仕草は、戦場で受けた恐怖からきている。夜寝られず、潔癖症みたいなこだわりが出て、騒音に敏感になる。人の言う事を信じることができない。安全なはずの本国に戻ったのに、安らぎが得られない。岡全体が兵士の白い墓で埋め尽くされた墓地で、元同僚の墓参りをするサムは絶望的な気持ちになっただろう。

一歩間違えれば、警察に射殺されてしまう出来事まで起きてしまう。でも、小さな町で町民全員が顔見知りだというのが幸いだった。それにしても、サムが入院する病院の建物が非常に立派なことに驚いた。サムはグレースや子供たちや弟のトミーの支えで、きっと社会復帰できると思う。何年もかかるかもしれないが、それを望みたい。



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