ロビン・フッド

イングランド北部のノッティングガム、シャーウッドの森にいたとされる弓の名手ロビン・フッドの伝説と12世紀末の歴史上の人物とうまく融合した歴史アクション映画になっている。「グラディエイター」のリドリー・スコット監督が、45歳のラッセル・クロウを主演にして見ごたえのある作品にしている。ラッセル・クロウはこの映画のためにトレーニングやダイエットに励み、エリザベス1世を演じたこともあるケイト・ブランシェットが共演している。フランスとイギリスの領土争いやマグナ・カルタまで取り込んだ脚本が巧みだし、戦闘シーンも迫力満点だ。

以下後日。ロビン・フッドことロビン・ロングストライド(ラッセル・クロウ)は、伝説上の人物であり吟遊詩人の伝承によって現代に到っている。獅子心王リチャード1世(ダニー・ヒューストン)率いる第3回十字軍に参加して、弟のジョン王(オスカー・アイザック)の時代にフィリップ2世のフランス軍と戦ったという物語は、この映画の製作陣のフィクションだ。でも、これが実に巧みな脚本のおかげですばらしいスペクタクルになっている。

1190年にイングランドを出発したリチャード1世たちは、一応エルサレムを目指して軍を進める。でも、フランスやイタリアなど道中で激しい戦いを繰り広げて戦果をあげて、聖地の近くまで行くが帰還している。帰国の最中には王が人質になったりして、母のアリエノール・ダキテーヌ(アイリーン・アトキンス)が身代金を届けたりしている。また、フランスのフィリップ2世はリチャード1世の兄弟間の争いをそそのかして、たびたびイングランドを弱体化させようとした。そんなわけで、ジョン王は兄が戦いに明け暮れているので財政がひっぱくしたと考えていた。

また、フランス国内にイングランドの領地が多く存在した時代で、リチャード1世が城を攻めているのは一応自国内の反逆者をなくす目的があった。ロビンは弓部隊に所属しており、戦闘の前線にいた。城の門に油の入った袋を掛けて、それを火の弓で射て門を破る。ロビンは、門に引っかかった仲間を救いに行く仲間思いの面を見せる。その城攻めの激しさがすごい。

1199年4月6日にリチャード1世が弓に射られて亡くなり、ロクスリー卿が王冠をロンドンに届けるために早掛けする。その途中で王冠を奪おうと闇討ちされた場面に、ロビンたちが遭遇する。ロクスリーの臨終に王冠をロンドンに、剣をノッティンガムの故郷に届けるように頼まれる。ロビンたちは金目のものを集めて仲間と山分けして、ロクスリーに成りすましてドーバー海峡を渡る。

無事にロンドンに到着して、リチャード1世の母アリエノールに王冠を返してすぐにロンドンを離れる。そして、ノッティンガムへ向かい亡くなった息子の父ウォルター(マックス・フォン・シドー)に会う。ロビンはそこで家を存続させるために、未亡人マリアン(ケイト・ブランシェット)の夫になるように頼まれる。

その後の見せ場は、なんといっても裏切り者のゴドフリー(マーク・ストロング)の悪ぶりと上陸用舟艇のような船でやってきたフランス軍との戦いのシーンだ。ロビンがばらばらだった諸侯をまとめ上げるお話もいいけど、雨のように降り注ぐ弓に倒れる敵兵や横から襲撃する馬上の戦士たちの戦いがいい。ハンマーのような武器で、相手の盾を砕くシーンはすごい。

ロビンがまとめあげた文書は、1215年に出されたマグナ・カルタという人権宣言のような文書を意識しているのだろう。法の支配や法による裁判、財産の保持や国王の専横を許さない内容になっている。ジョン王は実際にそれを一旦受け入れるが、すぐに反故にする。ロビンを反逆者とするエンディングは、歴史的な背景からもあり得る設定だ。



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