チェイス!

インドの大ヒットアクション映画「Dhoom」シリーズの第3弾らしいけど、わては前作を知らない。前知識がなくてもすんなり入り込めるインド映画の超大作娯楽アクションだった。アクションありサーカスあり、恋愛物語ありサスペンスありのミュージカルありのてんこ盛りだった。日本版は152分だけど、本来は172分もあるのである程度カットしてある。その編集の違和感はない。それよりも、アクションの大サービスの徹底ぶりに大満足した。何も難しいことを考えないで、爽快な気分で映画館を出ることができた。

主人公の子供時代から話しが始まる。銀行の融資があればサーカスを続けられる父が、銀行家の前でショーをしてみせる。一応ショーを見るけど最初から融資をしないつもりだった銀行家の前で、父は拳銃自殺する。サーカスは解散されて、20年後に時間が飛ぶ。サヒール(アーミル・カーン)は、サーカス団を率いるリーダーだ。表の顔はそれだけど、裏ではシカゴのある銀行を狙った連続銀行強盗だった。ビルの屋上から札束を振りまき、高性能なバイクで逃亡する。

BMWのK1300Rというモンスターバイクを猛スピードを走らせて、パトカーやヘリの追跡をかわす。陸上だけでなく、水上スキーに変身したり、空中のロープの上を走ったりする。その華麗な逃亡方法が見ものだ。どうしても警察では逮捕することができないので、手がかりからインド系の犯人だと考える。そこで、インドから凄腕の刑事二人、ジャイ(アビシャーク・バッチャン)とアリ(ウダイ・チョープラ)を呼ぶ。シカゴにやってきた二人の刑事は、バイクを使ったりして犯人を追求する。

サーカスでは歌って踊れるヒロインを募集していて、アーリア(カトリーナ・カイフ)が飛び込みでやってきて採用される。やっとシカゴでの興行を開催するサーヒルたちは、観客の大喝采を浴びる。見事なエンターテイメントだ。これだけでも、一つの映画ができそうなレベルだ。一方銀行強盗の方は、インドからやってきた刑事たちの活躍で犯人が絞り込まれていく。警察側からの仕掛けに、堂々と受けて立つサーヒルだが逃亡中に背中に銃弾を受けてしまう。さっそく警察がやってきて身体検査をするが、銃で受けた傷がない。

その秘密は、非常に良く似た人間がいるということだった。一人二役をするアーミル・カーンの演技で、全くの別人に見えてしまうからすごい。一人は冷静で大胆に行動するし、もう一人は人前に出ない内気で人付き合いが苦手なのだ。その人前に出ないサマルという存在が、アーリアとの恋に目覚めていく。そこへ、インドの刑事ジャイが巧みに入り込んでいく。銀行は株価の暴落で潰れてしまうけど、強盗を繰り返した犯人も追い詰められていく。最後は悲劇的な終わり方だけど、それほど悲しい気持ちにはならなかった。

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