ゴーン・ガール

「ドラゴン・タトゥーの女」のデヴィッド・フィンチャー監督が、ギリアン・フリンの同名小説をベン・アフレック主演で映画化した作品だ。誰もがうらやむ若い夫婦に突然妻の失踪事件が起き、夫に妻殺害容疑がかかる。マスコミの煽り立てるような報道は夫の立場を悪くして、観客もそれに引き込まれる。ところが、待っていたのが仰天境地の展開だ。人間の欲望の醜さをこれほど見せられては、結婚生活に希望が持てない人も出てくる。すごい衝撃的な映画の誕生に遭遇してしまった。

ニック・ダン(ベン・アフレック)はNYで雑誌のライターをしている。あるパーティーでエイミー(ロザムンド・パイク)に出会う。彼女は性格分析クイズのライターをしている。両親は児童文学作家としても精神科医として有名で、著作のモデルにエイミーがなっている。『アメイジング・エイミー』という児童文学のモデルで、実際に彼女が経験したことが作品に反映されている。いわば、両親の生み出した魔法使いともいえるだろう。つまり、精神分析の専門家だろう。

そんなエイミーと結婚したニックは、新婚当初はNYにいたので生活レベルが変わらない。ところが、ニックの母がガンになり、面倒を見るためにミズーリ州の故郷に二人で戻る。都会からいきなり田舎に引っ越して、義母は看病のかいなく亡くなってしまう。残されたのは、ニックの双子の妹マーゴット(キャリー・クーン)と老人ホームに入った父だ。さらに、エイミーは失業してしまう。結婚5年目の記念日に、ニックが出勤するとエイミーが失踪する。台所には大量の血液を拭きとったあとがあり、暴行された形跡もあった。

警察にすぐ連絡すると、ボニー刑事(キム・ディケンズ)がやってきて捜査を始める。でも全く手がかりが乏しく、住民総出で捜索活動が行われる。ニックはテレビにも出演して、情報提供を呼びかける。この段階からマスコミの少しネジ曲がった報道が始まる。ニックの家の前にはテレビ局の中継車が常駐して、興味本位のワイドショーとなってしまう。ここまでの描写で色々な伏線がまかれており、後半はその回収が綺麗にされる。裕福な両親から譲り受けた供託金が100万ドル以上あるエイミーは、なぜさえない普通の男性と結婚したのか。なぜ、高校時代に少し付き合った同級生といまだに文通をしているのか。

それが、すべてある可能性を予想した保険だったとすると、とんてもないことになる。ニックが教鞭を取っているカレッジの元女学生と不倫関係にあり、それを妻が知っていたとする。セレブな生活をしていた女性が田舎にやってきて職を失い、まわりが色あせて見える。そんな状況を解決するのが、妻エイミーが取った方法だ。それは家族問題専門の弁護士ターナー・ボルト(タイラー・ペリー)でも見抜けない。とんてもない映画に出会ってしまった。

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