オリエント急行殺人事件2日目、感想

アガサ・クリスティー原作、三谷幸喜脚本の「オリエント急行殺人事件」の2日目を見ている。前日出てきた出演者の紹介から始まって、着々と犯行計画をたてて実行する様子を描くのかと思っていた。そしたら、全然違っていた。幼い娘を誘拐されて殺された剛力家の血縁者や使用人などが出てくる。この2日目だけで一つの映画になるような密度の濃いものだった。

最初から全員が揃うのかと思ったら、復讐を企てているグループがいくつかある。それを一つにまとめるのに時間がかかる。さらに、誘拐犯で裁判で無罪になった藤堂(佐藤浩市)がのうのうと企業家として実績をあげていく。

12名の実行犯を集めて計画をどうするか悩んでいるときに、藤堂の部下が実行犯の一人を見つけてあとをつけられてしまう。そして、出入りをしていた喫茶店のマスターが殺されてしまう。いやはやこの展開にはびっくりした。

さらにびっくりしたのは、藤堂が身代金を使って麻薬の工場を下関に作りそれを闇社会に売り利益をあげていたというエピソードだ。その情報をもたらしたのは、藤堂の秘書である幕内平太(二宮和也)なのだ。

車掌の西田敏行が、自殺した使用人の父親だったのだ。

藤堂が突然下関に行くと言い出した。麻薬工場の具合がよくないというのだ。それが、絶好のチャンスになる。

喫茶店のマスターを殺した部下が、メンバーの顔を知っているのだ。それが一番の問題だった。運転手が囮になって、その部下をおびき出して列車に乗り遅れさせる。そのシーンにはどきどきした。

さらに、一度メンバーから外れたはずの杏が現れてしまう。もう一つの手違いは、名探偵の勝呂誉(野村萬斎)が鉄道省の重役莫(高橋克実)とともに乗り込んできたことだった。勝呂を睡眠薬で眠らせることを考えるけど、それは問題だと誰かが言う。一晩中寝かせないのがいいとなる。

ナイフを藤堂に突き刺して行くシーンが、なんだかとても悲しい。娘を殺された母、娘を自殺に追いやられた父親、世話になった使用人、自殺した剛力の友人などが次々に睡眠薬で寝ている藤堂の身体にナイフを突き刺す。

「これは、勝呂尊の解決できなかったはじめての事件です。」

なんという結末なんだ。「小一時間で名古屋に到着するから、警察に向けて報告書を書かかないといけませんな。」と勝呂が言う。途中の駅から乗ってきた何者かによって藤堂が殺されて、関ヶ原で列車が止まったときに逃げていったということにする。すごい脚本を考えたもんだ。



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