マリアンヌ

ロバート・ゼメキス監督がブラッド・ピットとマリオン・コティヤールを主演にむかえて作った第二次世界大戦中のモロッコとイギリスを舞台にしたサスペンス、ラブストーリーだ。「カサブランカ」と同じ時代設定であり、まさに前半のモロッコ編ではスパイアクションが繰り広げられる。任務を終えて英国に戻ったらもう関係ないと思っていたら、ロンドンも空襲があい落ち着く暇もない。夫婦となった仕事仲間は詰めが甘かったのか、時代の嵐に負けてしまったのだろうか。なんともやるせない結末だった。

モロッコは親ナチス政権が成立しており、ドイツ軍のアフリカ進出の基地としての役割を担っていた。連合国としては強力な戦車部隊の独軍を弱体化するために、モロッコは重要な拠点になっていた。そこで、マックス(ブラッド・ピット)は砂漠の真ん中に落下傘で降りて、モロッコに潜入する。マックスが合流するのは先に潜入していたマリアンヌ(マリオン・コティヤール)だ。ニセの夫婦になって、ドイツ大使のパーティー会場で要人暗殺を実行に移す。

マリアンヌはドイツ軍に幅広く人脈を作っており、マックスを夫して紹介する。戦車部隊の隊長夫人には夜の生活も覗かれていたので、そのフリをするのに努力した。そして、いざ決行の時にはドイツ大使やドイツ兵を全員始末する。でも、夫人だけは始末できなかった。ロンドンに脱出してからは、二人は結婚する。マックスは連合国の情報部でのデスクの仕事をして、マリアンヌは娘を産み育てている。

印象的なシーンが多く登場するけど、ポイントは車の中にいる限り安全だということだ。砂嵐の中で結ばれるシーンもあるけど、車の中なら大丈夫だ。外に出たら命がない。それと同じで、車の外では銃弾が飛び交い死人が出る。車から降りることの意味は命がけなのだ。マリアンヌが二重スパイではないかと上層部に指摘されてからの、マックスの行動が涙ぐましい。それはナチス占領下のフランスに夜着陸して、警察署の独房にいる友人に妻の写真を見せに行くのだからすごい。

マリアンヌが娘への手紙を書く決意をさせたのが、夫との営みの感覚の違いだという。夫婦ともなると、嘘はつけないもんだと思う。本当のマリアンヌはナチスに占領されたフランスでラ・マルセイエーズをピアノ弾き語りしたという女傑だった。そんなことをすれば命がないのは明らかである。戦争という嵐の中では、人間はちっぽけなもんだと思う。唯一の救いは、父娘が故郷に帰り牧場を営んでいるラストだった。

なんでも、この物語は脚本家が聞いた事実に基いているらしい。あまりにも切ない終わり方だったので、星3個。

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