ハッピーフライト

冒頭のフライトシュミレーションの墜落というシーンから始まるこの映画は、映画館で見る観客に「ハッピーフライト」を実体験させてくれる。登場人物たちを群像的に描くことで、観客は自分がほんとうにボーイング707に乗っている体験をすることができる。

誰が主役というわけではないこの映画は、観客に羽田とホノルルまでの飛行機の旅を体験させることが目的だと思う。ほんとうは、このお話をまじめに描くとパニックアクション映画にもなる。何しろ、2時間飛行して燃料がぎりぎりになる危険を冒しながら、台風の接近する中をどこかの着陸地まで飛ぶのだ。その内容をなんと、アクションコメディにしてしまった。

新人CA(綾瀬はるか)は可愛いだけの感じがしたが、吹石一恵や寺島しのぶのCA役は見事である。また、三本線の副操縦士(田辺誠一)と試験管の機長(時任三郎)のやり取りがとぼけた雰囲気を出していていい。地上の整備士がスパナひとつを無くして全員で探したり、グランドスタッフがダブルブッキングした乗客の処理をする。

田畑智子演じるグランドスタッフが、「さっさと行ってらっしゃい。戻ってくるなよ。」と手を振るシーンがいい。飛行機が飛び立ってしまえば、グランドスタッフは次の仕事にかかれる。整備スタッフが時間に追われるシーンも迫力がある。

一番の見せ場は、飛行機がどこかの飛行場に着陸するシーンだ。特に詳しい進路のやり取りなどは、飛行機マニアにはたまらないと思う。また、寺島しのぶ演じるベテランCAがわがままな乗客に言うせりふはぐっと来た。

飛行機に乗ったことがある人は記憶を思い出すことができるし、未経験の方も実に丁寧な描写で飛行機に乗ったような体験ができる。それぞれの持ち場のスタッフが、自分の仕事に誇りを持っているのがいいのだ。ゴロゴロ。



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