劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

マジシャン山田奈緒子(仲間由紀恵)と物理学者上田次郎(阿部寛)の凸凹コンビが、怪奇現象を解明する映画版第3弾だ。「お前のやったことはすべてお見通しだ」という山田の決め台詞が、わては大好きだ。B級テイストが漂った中にも、起きる事件は怪奇なものだ。どこかギャグの部分があって、適度な遊び心がいい。過去の映画のパロディもあって、非常に楽しい内容だった。特にエンディングクレジットの最後のOK牧場のガッツ石松がハエになって「早く帰れ」としゃべったので、大笑いした。

監督は堤幸彦で、脚本は蒔田光治だ。冒頭で江戸時代の蘭学者と、水手品師が出てくる。蘭学者は阿部寛で、水手品師は仲間由紀恵だ。これは本編に入る前の前のお話で、映画のあらすじの紹介の意味がある。手品小屋にお偉いさんが通いつめているので、調べて欲しいという。「お上は蘭学を軽んじていたのに、いざとなったら蘭学者に相談に来る」と、蘭学者は嫌味を言う。水手品師の仲間が演目をやっていると、突然乱入者が来る。それが、松平健だ。

そのお話が終わると、山田が夢から覚める。どこかのショッピングセンターか、ステージに出たマジシャン山田(仲間由紀恵)はたった一人の観客を前にしてネタを披露する。途中で失敗してクビになり、アパートに戻ると大家さんに2か月分の家賃を請求される。払うお金のない山田は「霊能力者大募集」という万練村のイベントに応募しようと、ボンネットバスに乗る。一方、大学の物理学者の上田は万練村からやってきた中森翔平(佐藤健)から相談を持ち込まれて、迷信にとらわれている村人の説得に村に来ていた。

万練村では代々「カミハエーリ」という霊媒者が権力を握り、すべての取り決めをつかさどっていた。中森の祖母がその霊媒者だったが、亡くなったので後継者を決めないといけない。その方法は、全国から霊能力者を募集して戦わせて、最後まで生き残ったものが後継者になる。孫の中森がその候補なのだが、村人の前で実力を示す必要があった。でも、中森自身は全く霊能力を信じておらず、上田に科学的に証明して欲しいというのだ。

火を自在に操る妖術を使う鈴木玲一朗(松平健)、未来が見えるという杉尾園子(片瀬那奈)、踊る預言者相沢天海(戸田恵子)、絶対に死なないという伏見達郎(藤木直人)らに加えて、マジ超能力者の山田に後継者の中森たちが、村人の前でバトルロイヤルを繰り広げる。刑事の矢部謙三(生瀬勝久)と秋葉原人(池田鉄洋)も、おもしろい存在感がある。中森のガールフレンドの美代子(夏帆)のエピソードは、悲劇だけど深刻に受け取れない演出だった。

松平健が白馬に乗っていたり、戸田恵子が歌って踊る。棺おけからの瞬間移動、鉄球の落下、二重蓋のからくりなどおもしろい趣向がいっぱいある。村で顔を合わせても、他人のふりをする山田と上田のコンビぶりがおもしろい。文明社会以前のような村が、現代の日本に存在する設定は大変に皮肉が利いている。マンネリで凝り固まった後継者の決め方が、どこかの集団に似ている気がするのは笑ってしまう。ハエの顔に、ガッツ石松が出演しているのを見逃さないでほしい。わては、スクリーンを出て自分の車に着くまでずっと笑っていた。



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