相棒シリーズ X DAY

水谷豊主演の人気ドラマシリーズのスピンオフ劇場版第2弾だ。捜査一課の伊丹憲一(川原和久)とサイバー犯罪対策課の岩月彬(田中圭)を中心に、日本の金融システムの危機を背景した殺人事件に挑む様子を描いている。日本の国家財政の危機は誰でも知っているけど、民間銀行が国債を購入しているのでそれほどの切迫感がない。でも、この映画のように特定の銀行に取り付け騒ぎが次々に起きると、混乱が拡大するだろう。「X DAY」というのは日本国債が紙切れになる日のことなんだけど、陰謀を計画する黒幕の存在感に重厚さが感じられない。

国債が紙切れになる日の演出には、銀行の前に現金輸送車が到着してお金を運ぶシーンで描かれている。現金の入ったケースにバイクが衝突して一万円札が宙に舞う。それを銀行の取り付け騒ぎに来ていた人々が殺到する。そのほかには、銀行のATMが取り扱いを中止して窓口に押しかける。殺気だった演出なんだけど、深刻さが伝わってこない。総理補佐官を演じる木村佳乃が、官僚相手に策略をめぐらすシーンも深みがないと感じた。

東京明和銀行の中山雄吾が殺されて、上司の朽木(田口トモロヲ)と彼の彼女である麻生美奈(国仲涼子)が事件の鍵を握る人間として登場する。また元証券会社の男性が、暴力団の資金を運用しているトレーダーをしている。中山健吾がどのくらい追い詰められていたのか、やばい機密を抱えたままどのように悩んでいたのかがわからない。さらに、国仲涼子が演じる麻生美奈には全く身の危険が及ばない。

プロデューサーは「ペリカン文書」や「大統領の陰謀」のようなサスペンスにしたかったと書いている。でも、なんだろうか切迫していない。水谷豊と及川光博があまり登場していないので、脇役の方々の人物像ははっきりと描かれていてよかった。

捜査が深い部分に及びそうな状況を、警視庁のお偉方がストップする。その苦渋の指示も嫌らしさが少ない。どうしてこうなってしまったのか。「大統領の陰謀」はニクソン大統領のウォーターゲート事件を描いている傑作なんだけど、比べ物にならない。

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