ライジング・ドラゴン

時間の都合で日本語吹替版を見た。ジャッキー・チェンが最後のアクション大作として、監督・脚本・製作もかねて取り組んだ痛快アクションだ。相当の予算をかけているのがわかるくらい、次々と新しいアクションが登場する。ローラーブレードスーツ、ポータブルパラグライダー、3Dプリンター、高性能メガネなどのいままでにない道具が活躍する。ジャッキーが自らすべてのアクションに身体を張っている。文化財の海外流出という問題をうまく絡めた物語が一つの主題になっているが、決して押し付けがましくない。適度のパロディが笑いを誘い、ジャッキーの余裕まで感じた。映画館で見て欲しい。

アジアの鷹と呼ばれているJC(ジャッキー・チェン)は、アンティーク・ディーラーのマックス・プロフィット社から依頼されて美術品を盗み出すプロだった。19世紀の清王朝時代にアヘン戦争でイギリス・フランスなどに攻められた中国では、清の王宮から十二支の像がすべて盗まれた。そのほかにも、戦争のドサクサで多くの美術品が国外に散逸した。明治維新以降の日本も全く同じ状況であった。ところが、中国人であるはずのJCや仲間たちは金のために最新テクノロジーを屈指して泥棒稼業をしている。

ジャッキーが屋敷に侵入して、サイモン(クォン・サンウ)はテクノロジー担当、ポニー(ジャン・ランシン)はテコンドーの達人だ。冒頭のローラーブレードスーツでのアクションが、魅せてくれる。十二支像のレプリカを作るために、一味は大学教授に接近して情報を得る。さらにフランスに入国したら、中国の美術品返還運動を行っているソルボンヌ大学のココ(ヤオ・シントン)にも接近する。ナショナルジオグラフィックの記者をよそおったジャッキーは、喜劇みたいに怪しい。

フランス上流階級所属ながら、破産して屋敷や調度品すべてを銀行に差し押さえられているキャサリン(ローラ・ワイスベッカー)と知り合う。記者に成りきった一行は、屋敷内を案内してもらいながら偽物と本物をすり替えていく。先祖の話から残された宝のヒントを得た一行は、南太平洋の離れ小島に向かう。そして、海賊とのドタバタ劇を繰り広げる。パロディ満載の中にも本物のアクションが披露されるので、見ていて楽しい。

ソファーに座ったままでの格闘、女性同士の長い足を振り回した戦い、倉庫の道具を使ったアクションなどが次々に出てくる。さらにびっくりしたのは、火山の噴火口にお宝を落とすのを奪い返すシーンだ。噴煙を突き抜けて、火山の斜面を転がり落ちるのがすごい。本気の凄さを感じた。それと好感を持ったのは、持ち出された美術品を元の国に返す運動をあまり押し付けていないことだ。笑いを含めながら、その気にさせる物語がすばらしい。

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