二流小説家 シリアリスト

「このミステリーがすごい(海外編)」などで第1位を記録したデイヴィッド・ゴードンの「二流小説家」を原作に、映画化された作品だ。脚本家3名の共同で練り上げて、相当力が入っている力作なのだろう。刑務所に収監されて死刑執行を待つ連続殺人犯が、売れない小説家を呼び出して無理難題を押し付けてくる。それによって巻き起こされる新たな殺人事件から事件全体の真相が明らかになっていく。この映画を見ている最中に「羊たちの沈黙」と似ていると思ったが、比べものにならない。ふせんの貼り方と回収方法が爽快でないと感じた。

赤羽一兵(上川達也)は売れない小説家だ。母親の名前を借りて少女向け小説を書いたり、官能小説でなんとか生活している。そんな売れない小説家に、連続殺人事件で死刑判決を受けた呉井大悟(武田真治)から告白本の執筆依頼の手紙が来る。呉井の弁護を担当している前田礼子(高橋恵子)弁護士を訪問して、助手の鳥谷恵美(平山あや)に同行してもらい刑務所に向かうことになる。前田礼子は50歳を過ぎて弁護士になったという変わった経歴の持ち主だった。

首を切断して女性を殺害した猟奇殺人犯である呉井は有名人であり、その告白本ならベストセラー間違いない。そんな思惑を見透かしたように呉井は、とんでもない条件を提示する。自分のファンである三人の女性と自分を主人公にした官能小説を書くように要求する。赤羽は呉井の存在感に圧倒されて、言うことを聞くしかない。女性たちを取材していくと、呉井が実施した手口を同じ方法で殺害されてしまう。12年前に起きた手口は、首を切断されて赤いバラの花びらを周辺に飾り写真を撮影するというものだ。

犯人が刑務所の中にいるのに、似たような事件が起きてマスコミは騒然となる。「呉井大悟の再来、模倣犯か」という見出しが出て、弁護士の前田が注目される。ルックスのよさと独自の存在感で女性ファンの多い呉井には、ファンレターが多く来ていた。その中から選ばれた女性が犠牲者になった。

呉井は子供のときに実の母から離されて、里親・工藤三重子(佐々木すみ江)のもとで育てられた。そこでひどい扱いを受けて、呉井は歪んだ性格になってしまった。古い事件を掘り返そうとする赤羽に対して、遺族の三島忠志(本田博太郎)たちが抗議する。ブローニーフィルム、寝たきりの老人、歪んだ親子関係などがキーワードになる。何名かの実行犯が明らかになるけど、最後の犯人は取って付けたような種明かしだった。どうもエピソードをたくさん入れすぎたと思う。

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