スティーブ・ジョブズ

アップルの創業者スティーブ・ジョブズがiPodを発表するまでの物語を、ジョシュア・マイケル・スターンが製作監督をして映画化した。自宅のガレージがアメリカの文化財に指定されているくらいの有名な話なので、大筋は知っていた。大学を中退して始めた頃が一番楽しかったような気がする。何万ドルの融資を取り付けて会社を大きくすると、なかなか創業当時の理想を実現するのは難しい。主演のアシュトン・カッチャーはまるでジョブズにそっくりだけど、会話を中心にして物語が進むので映画的な醍醐味は少ない。

スティーズ・ジョブズ(アシュトン・カッチャー)は大学時代、講義が面白くなくて学業に熱心ではない。サボりぐせがあったのだけど、声をかけてくれる先生もいた。スティーブ・ウォズニック(ジョシュ・ギャッド)が趣味で作った基盤の性能に驚いたジョブズは、これでパーソナルコンピューターができるのではないかと直感する。それはキーボードで入力した言語をディスプレイに表示するというものだった。現在から思うと当たり前のことなんだけど、コンピューターが大きな家具のようなものだった時代からすると画期的なことだった。

すぐにジョブズは自宅のガレージでその基盤を作るために、近所の子供や大学の友人を集めて電気部品屋に売ることを始める。それが、1976年の「アップルコンピューター」の始まりだった。基盤をなんとか売ったジョブズたちは、アップル1というパソコン本体を見本市で発表して脚光を浴びる。そして、最初の出資者マイク・マークラ(ダーモット・マローニ)とめぐり合う。それはあちこち電話をかけまくってやっと会いに来てくれた人間だった。そこから快進撃が始まる。

会社設立後4年で株式の公開にこぎつけるが、ガレージ時代からいっしょにやってきた仲間に未公開株の配布を行わない仕打ちをする。つまりそれは、上場企業として株主を募集するにあたりスキルのない社員をやめさせることだった。アメリカではこういうことが、日常的に行われているのだろう。それともかなりの強情ものなのかもしれない。取締役としては、多額な出資をした人間やペプシで辣腕をふるったジョン・スカリー(マシュー・モディーン)のような人間が就任することになる。

それはともすれば、株価優先主義の経営に陥りジョブズ自らの首をしめることにもなったのだろう。アップルを一旦追い出されたジョブズは、ハリウッドのアニメ制作会社に在籍したこともあるけど省略されている。自分が立ち上げたNeXT社がアップルに買収されて、ジョブズは復帰する。そのときに、デザイナーのジョナサン・アイブと興味深いやり取りをする。この映画は、経営権の争奪戦みたいなお話になってしまった。そうではなくて、技術的な話題とかデザインの方向性の問題を主題すれば、もっとダイナミックな作品になっていたと思う。

付け足し。エンディングクレジットで「YAMAHA」のロゴが大きく出ていたのはどうしてなんだろうか。
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