かぐや姫の物語

高畑勲監督が原案・脚本・監督を担当して、日本最古の物語「竹取物語」を真正面から取り組んで映画化した。子供の頃から記憶にある竹取物語は竹からうまれたかぐや姫がなんでか知らないけど月に帰っていくものだった。それが貴族の世界に憧れた老夫婦の願いを叶えるために姫となった娘の悲劇だったのだ。手描きのタッチを残したアニメと最初に声を録音する手法で、莫大な製作費が投入されている。ほとんど無駄なシーンがないほど完璧な映画になっていた。

翁と媼は、仲良く暮らしている。翁は竹やぶの管理で生計を立てており、竹製品を作って町で売りに行く。ある日、一本の竹が光ったので近寄ると、筍がどんどん伸びてきて先端が花びらのように開いて小さな人間が出てくる。それを自宅に持って帰ると、赤ん坊になる。お乳をもらおうと近所まで出かけると、媼の乳が出始めるという異変が起きる。そして、通常の人間の成長速度よりも何倍も早く大きくなる。ひと冬過ぎると、可愛いお姫様のような少女になる。

赤ん坊が出てきたのと同時に、再び竹が光り大量の衣が出てきた。また、黄金も出てきた。それを見て翁は、この娘を高貴な育ちの男性に嫁がせるべきだと感じる。この決意は、一種の姫を送り込んだサイドの舞台設定だろう。でも、生まれたばかりの姫は山里の捨丸という子供たちと遊んで育つ。山で暮らしている捨丸の家族たちは、すき焼きの生業で生きている。山から山に移動するので、姫とは別れ別れになる運命だ。

翁は都に何度か足を運んで、屋敷を造営する。そして、屋敷が完成したのと同時に姫を連れて都に引っ越す。野山を飛び回っていた娘には、「かぐや姫」という名前が名付けられて教育係の指導で貴族の娘になっていく。元々の出身が仏様の娘みたいな感じなので、人間の欠点がすぐにわかってしまう。右大臣や大納言や中納言や皇子らから、求婚を受けるが難癖をつけて拒否する。彼らが例えた宝を持ってきても、偽物だと看破してしまう。

もはや、かぐや姫自身も何を目的に生きているのかわからなくなっていく。最後には御門(みかど)からも求婚されるが、それをも拒絶して自分がやってきた故郷への助けを求めてしまう。それは、もう生きるという意味ではない。どうもかぐや姫は人間と比べて成長が非常に早くて、一年で少女になってしまう。月から迎えに来るのは仏様であるので、あの世であると思う。あの世でなければ輪廻転生の何回目だろう。

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わてのお気に入りは、女童ですじゃ。映画館にもあるかわかりません。




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