ラッシュ/プライドと友情

GAGAオンラインシアターの試写に当選して、本日鑑賞した。ニキ・ラウダとジェームズ・ハントの名前は知っているけど、観たことがない。まだ、F1に電子制御などのハイテクが導入される前だと思う。450馬力のエンジンと機械式のサスペンションに衝突安全性に乏しいマシンで、ドライバーの腕だけでスピードを競っていた時代のライバル同士の争いを描いている。タイヤの破片が飛び散り、猛烈なGに車体が悲鳴をあげる。じゃじゃ馬みたいなマシンを操縦するのに冷静なラウダと情熱的なハントが対照的に描かれている。大火傷から執念で復帰するラウダのライバルへの言葉がいい。

1976年8月1日、ドイツのニュルンベルグでF1の決勝が行われようとしていた。朝から土砂降りの雨が降り前年のチャンピオン、ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)はレースの中止を提案する。ライバルのジェームズ・ハント(クリス・ヘムズワース)は反対して多数決になり、レースは決行される。レースが始まると、路面が乾きだしてレインタイヤの車は次々にピットインする。ハントはスムーズに出るが、ラウダが時間をとられて順位を大幅に落としてしまう。シリーズを優勢進めていたラウダだが、ハントの猛烈な追い上げにあって焦りも感じていた。さらに、ピットでの時間のロスがラウダから冷静さを取り去る。

猛烈なスピードで追い上げていくラウダは、マシーンが空中に飛ぶほどの勢いを見せる。ニュルンベルグというサーキットは直線距離が長くてスピードが出やすく、事故が多いことで知られている。走りなれたコースなのに、車の許容範囲を超えたスピードに達してしまう。ラウダは車の調整能力に長けており、冷静ならそんなことにならないのだ。気持ちが先に行き、サスペンションに大きな負荷がかかる。3台がからむ事故が発生して、ラウダは400度の高熱に1分間さらされる。なんとか一命は取り留めるが、再起は簡単ではないと思われた。

顔が火傷でただれてしまい、ひどいのは肺の内部の火傷だった。肺の中にたまった膿を吸い出すのに、気道確保の金具と細いホースが口から差し込まれる。麻酔などしないで、吸引するのは並大抵の苦痛ではない。そんなラウダが一日でも早く復帰したいと思ったのは、テレビで流れてくるライバルのハントが優勝するシーンを見たからだった。そして、なんと事故から42日で9月のイタリアGPにドライバーとして帰ってくる。ハントにラウダが言う。「僕をここに戻したのも君だ」と冗談を交えながら仲間の中に入ってくる。

その言葉を聞いたハントは、正々堂々とチャンピオン争いをしようと決意する。その年のチャンピオン争いは最終戦の富士スピードウェイにまで持ち込まれる。再び天候は雨でラウダは妻マルレーヌ(アレクサンドラ・マリア・ララ)の顔が浮かびリタイアする。チャンピオンはハントが獲得する。正反対の性格だけど、お互いの才能を認め合いギリギリの争いをする。スポーツ選手が現役ならライバル同士はこういう関係になるのだと思う。アクションだけでなく、物語の内容がしっかりしたお勧めの映画だ。


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