黒執事

柩やなの同名コミックを、水嶋ヒロと剛力彩芽主演で映画化した。原作は19世紀のイギリスが舞台らしいけど、本作では近未来のアジアだ。悪魔のような性格を持ちながら執事としては完全無欠のセバスチャンが男装の令嬢である主人に仕えて、工作員として役目を果たす。執事・水嶋ヒロの完璧すぎる役作りが目立って、剛力彩芽の男装の令嬢ぶりが少し弱いのは致し方ない。他のキャストがいいし、舞台設定が完璧で見応えがあった。ダークな雰囲気にゾクゾクした。

世界が西側と東側に二分された近未来。東側の伯爵で幻蜂家4代目当主の幻蜂清玄(剛力彩芽)は、男装の令嬢だ。彼を支えるのは悪魔のように冷酷な性格ながら、執事をしては完全無欠のセバスチャン(水嶋ヒロ)だった。清玄の正体は両親を殺されたあと、男として生きる道を選んだる汐璃だ。清玄は巨大企業ファントム社の総帥であるけど、おばの岩槻華恵(優香)が経営の手助けをしている。さらに、幻蜂家の役割として世界統一を目論む西側の女王の指令を受けて働く「女王の番犬」という顔がある。

ドジなメイド、リン(山本美月)はメガネをかけているときは役に立たない。メガネが外れた時に、主人を守る銃の使い手に変身する。そのギャップが楽しい。「女王の番犬」に指令が来る。大使館員ばかりが狙われる連続殺人事件の解明というものだ。その殺され方は、ミイラのように全身の体液が搾り取られるという不可解なものだった。清玄とセバスチャンは、秘密の会員制クラブをつきとめて侵入する。

その会員制クラブでは、薬物が提供されていた。イプシロン製薬の九条新兵(伊武雅刀)が関係しているとわかる。薬物の売人も絡んでいて、誰が仕切っているのかわからない。東側に住んでいるので、警察組織は「女王の番犬」を敵視している。登場人物が限られているので、誰が悪いやつなのかすぐにわかってしまう。また、製薬会社の研究所にセバスチャンが侵入するシーンも簡単すぎて拍子抜けだった。

幻蜂家の屋敷やその他の建物は非常に雰囲気が出ている。でも、爆弾の仕掛けや処理の方法が簡単すぎるし、組織の人間の層が薄いのがお粗末だった。幻蜂家が男系で継承されるという決まりで、そこから悲劇が生まれている。優香の熱演もなかなかだと思う。序盤の心地よい展開のまま、ラストの黒幕登場まで突っ走ってくれたらよかったと思うのだ。説明的セリフを聞いているのが、苦痛だった。せっかくの美術や音楽が効果を発揮しているのに、惜しい。
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