ブリングリング

浜松のシネマイーラで観た。ソフィア・コッポラ監督が、2008年ごろにロスで起きた実際の事件を元に作った。ハリウッドセレブの邸宅に侵入して空き巣を繰り返した高校生たちの実像を描いている。何が現実で何が届かない世界なのかインターネットの普及でわからなくなっている。ブランド品を身に付ければ幸せになれるのと思ってしまうのは大人でも同じだ。この映画の製作に全面的に協力しているブランドは自分たちの価値が崩れないことを最重要にして、利益をあげるのが狙いなのだ。その戦略に踊らせられるのは愚かだけど、転んでもただでは起きない若者に驚いた。

マーク(イズラエル・ブルサード)は前の学校でいじめられて、転校してくる。引っ込み思案で自己主張を苦手にするマークは、ファッションも洗練されていない。案の定、転校初日に同級生からダサいと言われる。またひとりぼっちになると思ったら、レベッカ(ケイティ・チャン)が話しかけてくれた。ブランド品の話で盛り上がった二人は意気投合して、友人となる。レベッカの友人であるクロエ(クレア・ジュリアン)とニッキー(エマ・ワトソン)、サム(タイッサ・ファーミガ)は、母親に自宅で授業を受けている。

その母が教えているのが、「ザ・シークレット」の引き寄せの法則だ。類は友を呼ぶということわざのことなのだけど、子どもたちはまじめに勉強しようとしない。このことわざが、物語の柱の一つになっている。ある日、マークとレベッカがセレブについて話していると、パリス・ヒルトンがどこか遠くにいるとわかる。自宅を検索してみると、車ですぐに行ける距離だった。試しに邸宅に行ってみると、警備員も警報装置もないので簡単に侵入できた。入ってみたらブランドショップのような品揃えで飾られている。少し失敬して帰り、Facebookに写真をアップすると注目されている高揚感を味わう。

すぐにマークとレベッカは、サム、ニッキ-、クロエを誘い留守のセレブの家に空き巣に入るようになる。ネットで本人がいないことを確認して、自宅を検索すれば簡単に入ることができた。オードリナ・パトリッシ、ミーガン・フォックス、オーランド・ブルームとミランダ・カーの家に入ってコレクションを集めていく。拝借したものを身につけて、夜のクラブに遊びに行く。そこには全く罪の意識などない。警戒することなくドレスアップした様子をFacebookにアップする。同級生にも秘密にしないでオープンにしているので、警察もマークするようになる。そして、ロレックスの時計コレクションをクラブの経営者に換金してもらおうとしたので、おかしくなる。

最後には裁判を受けることになり、何十万ドルの罰金と最長で4年の服役を言い渡される。足に鎖をつけられて、囚人護送のバスに乗る。そこで初めて自分たちのやった罪の大きさに気づくのだ。これは他人ごとではない。彼らはたまたまブランド品に夢中になってしまったけど、我々だって何に心を奪われるかわからない。ネットに情報が氾濫してマスコミもスポンサーがあってこその時代なのだ。無防備な若者はその影響を受けやすい。刑期を終えたニッキーがテレビに出演して、自らのサイトを宣伝するのに驚いた。転んでもただでは起きないということだ。
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