ダラス・バイヤーズクラブ

マシュー・マコノヒー主演で、1980年代にエイズになった男性の物語だ。30日しか持たないと言われたのに7年半生きて、エイズ治療に有効な治療薬を探して世界を飛び回り政府や薬品会社や病院組織と戦った。FDA(アメリカ食品医薬品局)は現在世界で一番早く医薬品の認可をすることで有名だが、当時は同性愛者への偏見で薬品会社と癒着していた。その壁に立ち向かっていった主人公の変わり様がすばらしい。最初は自堕落な生活を送っていたけど、エイズ患者をして生き続けるために健康的で勤勉な生活を送るのだ。

1985年テキサス州ダラスで、放蕩三昧の生活を送っていたロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は突然倒れてしまう。病院で目覚めたら、医者からHIVウィルスの陽性反応が出たと言われる。有効な治療法がないので余命30日だとも宣告される。さっきまでロデオをやって仲間と賭けをして、勝てば女性と遊ぶ生活をしていた。電気技師としてもいい腕を持っており、同性愛者がかかるものだと思ったエイズになるわけがない。受け入れがたい事実に怒るけど、受け入れるしかない。

30日後に死ぬなんて絶対に嫌だと、臨床試験中のAZTを病院の職員から譲ってもらうけど難しくなる。そこで、アメリカでは未承認だけど有効な薬が手に入るメキシコに行く。猛勉強もして専門の論文まで目を通す。メキシコの医者から車のトランクいっぱいに薬を購入して、国境を超える。そして、自分が大嫌いだった同性愛者たちに薬を提供するダラス・バイヤーズクラブを作る。男性だけど女性の格好をしているエイズ患者のレイヨン(ジャレッド・トレー)の協力を得て、400ドルの入会金で薬を無償提供する組織なのだ。


マシュー・マコノヒーもジャレッド・トレーも20kg近い減量をして演じている。別の映画の写真と比べると、全くの別人だと思ってしまう。そこまでやるかと関心するもんだ。メキシコとの治療薬調達の旅には、入国の際に工夫が必要になる。色々な変装をしたり、自分が使うものだと主張したりする。FDAと製薬会社は癒着しており、法律をたてにして警察を使って彼らの活動を妨害する。ロンたちの活動に好意的だった医師イヴ(ジェニファー・ガーナーは、勤務先の病院をやめさせられる。さらに、ロンは政府が病気の患者に対して使いたい治療薬を制限するのは違法だという裁判まで起こす。

病気の治療方法は患者自身が選べるべきだという考えはいかにもアメリカ的だ。マスコミにも注目されたけど、裁判では負けてしまう。自宅に帰ってきてみると、それまで薬を提供した仲間たちが拍手で出迎えてくれる。このシーンは素直に感動した。余命30日と言われたけど、ロンは2257日後に死亡する。7年半生きた。副作用の多かったAZTの使用は減少して死亡者は減っていく。そして、今ではHIVを保有していたも発病を制御する薬が開発されており、節制した生活を送れば健常者と同じように生活できるようになっている。それもこれも、彼のような先駆者のおかげだと思う。

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