鑑定士と顔のない依頼人

ジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本、エンニオ・モリコーネ音楽で作られた美術鑑定士が主人公の豪華絢爛なミステリーだ。浜松のシネマイーラで観た。リピーター割引というキャンペーンまでやっているというので、一瞬も見逃さない意気込みで観た。すごい念入りに作られた脚本だった。音楽はもちろん、美術がすばらしいので圧倒された。贋作の中にはある印が必ずあるとベテラン鑑定士は言う。オートマタは日本のからくり人形が発祥なのだけど、声まで再生できるとは驚いた。セリフの一つ一つから各シーンそれぞれに意味があり、エンディングに繋がっている。見事な芸術作品だった。

イタリアを拠点に活動している美術品のオークション鑑定士であるヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、確かな目を持って贋作を見分ける。孤児だった彼は修道院で美術品の修復を手伝うようになって、その道に入る。どうして生涯独身を貫いたのは不明だ。人間不信に陥り、女性が題材の絵画を自宅の隠し部屋に集めるようになる。画家として成功しなかったビリー(ドナルド・サザーランド)にオークションに参加させて、欲しい絵画を落札させてコレクションに加えていく。

忙しいヴァージルに、女性の声の電話で親の遺産の美術品を鑑定欲しいと依頼がかかってくる。ヴァージルは女性が言う屋敷に出向き、家具や美術品の鑑定を始めるけど本人に会うことができない。地下室で西洋式からくり人形(オートマタ)の部品を見つけてしまい、通い詰めるようになる。壁越しに女性と話をできるようになって、ますますのめり込んでいく。歯車3個を入手したヴァージルは、機械職人のロバート(ジム・スタージェス)にオートマタの組み立てを依頼する。歯車の大きさから人間と等身大のからくり人形だと想像できるので、再現できれば大発見なのだ。

その屋敷にある女性の絵画が、母をモデルにしたもので現在の依頼人より若いころのものだと知らされる。壁の向こう側の依頼人の正体を若い女性だと知ったヴァージルは、恋心を抱く。手袋を常にするほどの潔癖症で人間の女性が信用できないヴァージルが、クレア(シルヴィア・フークス)という依頼人に翻弄されながら深みに入り込む。屋敷の扉の正面にあるバーで一日を過ごしている女性は抜群の記憶力を持っているけど、ヴァージルは話しかけようとしない。もし、最初の頃に話を聞いていればこの物語は成り立っていない。

広場恐怖症とか対人恐怖症なら、絶対に外出はできない。子供の頃に外国に行ったという話をクレアがする。それから海外には行ってないので、期限切れのパスポートしか身分を証明するものがない。その当たりから怪しいのだけど、疑問を抱く余裕がない。屋敷の前で暴漢に襲撃されて重症を負った彼はクレアに助けられる。その事件でクレアは外に出られるようになり、ヴァージルと一夜を共にする。ヴァージルはクレアが自分を愛してくれていると思い込み、秘密の隠し部屋に招待する。それが、ヴァージル周辺にいる人間たちが狙っていたことだったのだ。

あの部屋の絵画をすべて失っても、プラハまでクレアを探しに行く経済力も気力も残っているのがすごい。そのシーンは半分架空の物語かもしれない。
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